蕎麦の知恵袋

●そばに関わる人たちに、そばシーンをリードする川越蕎麦の会と築地そばアカデミーが真に役立つ最先端そば情報をお届けしていきます。

手打ちそばのレシピ

手打ちそば打ちは、そば自身がとても美味しいので、とりあえず麺が打てれば楽しむことができます。
そして、その美味しいそばに美味しい食材が出会ったら、もっともっと素敵な美味しさと出会うことができます。シンプルな魅力のもり、ざるから、動物性のリッチな旨味と出会った蕎麦まで、味の奥行と広がりが楽しめるところが、見逃せない魅力なのです。
  • 鰹節(マルサヤ)
昭和37年創業、《ほんもの》の鰹節にこだわり続ける鰹節問屋です。マルサヤさんの会社案内には、鰹節のことが大変詳しく、丁寧に掲載されており、とても勉強になります。
こちらから是非ダウンロードしてご覧ください。
  • 醤油(ヒゲタしょうゆ)
江戸時代(1612年)創業の醤油の老舗。なかでも本膳は、高級割烹用醤油として有名、バランスの整った超特撰濃口醤油です。こちらからご覧ください。
  • 醤油(川越松本醤油)
江戸時代(1764年)に伝説的豪商といわれた横田家が川越にて醤油製造を開始したとのこと。はつかり醤油は、築地そばアカデミーの本返しや調理全般で使用しております。こちらからご覧ください。
  • 本みりん/料理酒(白扇酒造)
江戸時代後期の創業らしいとのこと。白扇酒造さんの本みりんは料理番組でも取り上げられることが多々あるので、ご存知の方も多いと思います。本みりん、料理酒とも築地そばアカデミーの汁作りに欠かせない材料です。こちらからご覧ください。
  • そばつゆのレシピ
そばつゆは、旨味のかけ算
そばつゆの味は、醸造過程で醸し出される濃口醤油のグルタミン酸と、鰹節に多く含まれるイノシン酸を相乗効果させることで、これらの旨味が「かけ算」とされて強い旨味を呈する。
簡単にいうと、グルタミン酸は、濃口醤油をベースとして「返し」として仕込み、それをイノシン酸豊富な出汁でのばすのが、そば汁の作り方である。
醤油は未開栓の新品を使ってください。開栓した醤油は常に酸化が進んでいます。本返しは、冷暗所で常温保存、適当な場所がなければ冷蔵庫の野菜室で保存してください。1ヶ月程度で使いきるようにしましょう。返しの中の醤油も酸化が進んでいます。本返しは、すき焼きの割下や焼き鳥のタレとしてなどアレンジできます。
※出汁を取る際に、出汁の出来上がりより水を20%多く用意するのは、10%は蒸発をカバーし、10%は節に吸われる分をカバーするためです。
そばつゆのレシピ
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【1】本返しを作る。材料:濃口醤油1L、本みりん200ml、白ざらめ133g
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【2】鍋に本みりんと白ザラメを入れ、火にかけ白ザラメを完全に溶かす。
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【3】白ザラメが溶けたら、醤油を加える。
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【4】表面に細かな泡がたつ程度で火を止め、埃よけとしてザルをかぶせ常温で冷ます。常温に冷めたら、そのまま使えます。寝かす必要はありません。
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【5】出汁を取る。材料:水1.2L、鰹節50g
沸騰直前まで湯を沸かし、火を消してから鰹節を入れ、30秒たったら濾す。この時、節を絞らないこと。出汁をとった結果が1Lになっていることを確認する。
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【6】もり汁を作る(蕎麦猪口20杯程度)材料:出汁1L 本返350ml
出汁と本返しをあわせて、80℃くらいまで加熱し、汁をなじませる。
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【7】鍋を火にかけている間に、焼き入れ棒を熱しておく。
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【8】焼き入れ棒が熱く焼けたら【6】の鍋に入れる。熱した焼き入れ棒を入れることにより、アミノカルボニル反応を起こし、旨味と香りをより強く引き出すことができる。【9】火を止めて、みりんと酒を5ml程度ずつ加えて軽くまぜる。仕上がったもり汁は、氷を張ったボールに入れるなどして急冷する。急冷することにより、数日間程度冷蔵庫で日持ちさせることができます。
  • そばの薬味
日本酒 薬味が主役
薬味はきりっとした仕事をして、小粋に出したい。
茶花を投げ入れて活けるように、盛り箸で自然にまとめて、作為のないように盛りつけるのが良い。雑な扱いや、必要以上の量を盛りつけは、いただけません。提供しただけのそばを手繰るために、過不足ないボリューム。そして、最後にはすべてそば湯とともに味わいつくせるように、実は盛りつける量まで、さりげなく計算されています。
もう一つの主役は、そば前。蕎麦が茹で上がるまでの間に、日本酒を1.2本きゅきゅっと、そして最後にお蕎麦で〆る。そば好きならではの楽しみです。

薬味について
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大根は、できれば辛味の強い先端部分を使います。厚めに皮をむいて、大根をすりおろし、ザルに取ってスプーンの背などで軽く汁をきってから盛りつけます。絞り汁は、つけ汁とあわせて「おろしぶっかけ」にしても美味しくいただけます。
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ネギは、よく切れる包丁でこのように空中でごく薄いそぎ切りにし、そのまま水にさらします。盛り箸でネギの輪を一つずつはずし、中心部を取り除き、ヌメリを水で流してから盛りつけます。ネギは、包丁の刃が透けて見える位の薄さに切りたいものです。
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山葵の茎(葉のついていた部分)を手でむしりとり、包丁の峰でこするようにして必要な分だけ皮をむきます。力を入れずに「の」の字を描くようにおろし金ですると上品な辛味と色合がでます。おろした山葵は、スクレイパー(竹ブラシ)を使って回収すると無駄なく全て使うことができます。指先で形を作ったりせずに、盛り箸でナチュラルに盛りつけます。 山葵は根茎を濡れたキッチンペーパーで包み、冷蔵庫で保管することができます。
  • そばの茹で方
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茹で前は、恥
江戸時代の職人さんは、「茹で前は、恥」という深く、重い金言を遺してくれました。この短い一言に、そば打ちのすべてがこめられていると言っても過言ではありません。
茹でたそばは、お客様の口へと運ばれるわけで、芯が残ってごわごわしたような半出来のそばを提供するのは、職人の沽券に関わるという意味での恥。
しっかりと茹でられるそばは、水回し、のし、切りが完璧ではじめて完成する貴重な品物なのに、それをいい加減な茹で仕事で粗末にしてしまうというのも恥。最近は、キチンと茹でていないそばを提供するお店が増えています。また硬めのそばが粋なそばと思われている方もいらっしゃるようです。良い麺はしなやかに茹で上がり、20−30秒くらい余計にゆでても崩れたりしません。
そばの茹で時間に迷ったら、遠慮なく余計に茹でておけば間違いないです。一流の釜前は、冷水にさらす時間を調整してその日のその麺の最適な硬さをこしらえています。

ご家庭でそばを茹でる
【1】できるだけ大きな鍋にお湯をわかし、沸騰させます。一人前約150g程度を計量しておきます。一人前ずつ茹でます。
【2】大きめのボールに水を張っておきます。
【3】沸騰している鍋に一人前のそばを入れ、麺がくっつかないように菜箸で鍋の中でゆるく8の字を描くようにして麺をほぐします。 箸の先で麺をつまんだりすると切れてしまいますので、ご注意ください。
【4】麺がほぐれたら、蓋をします。
【5】吹きこぼれる前に蓋をとり、火力を調整しながら沸騰状態を保ち、茹でます。
【6】麺をスクイザルですくい上げ、水を張ったボウルにさらします。
【7】麺をかるく洗い、水を切り、ざるに盛り、提供します。
【8】鍋に残った湯は、最後にそば湯としてお楽しみいただけます。
※硬めの麺がお好みであれば、しっかりと茹でた後に、氷水でしめるとコシのたったそばになります。 30秒ほど茹でただけでゆるく溶けてしまうそばは、加水量が多いそばだと思われますので、次回は加水量を減らしてそば打ちをしてみてください。
太さと茹で時間の関係
築地そばアカデミーのそば教室で使っているそばの太さと茹で時間の関係です。
時間は、沸騰したお湯に一人前(約150g前後)の麺を入れた後の時間です。鍋の大きさ、麺の量により誤差がでますので、あくまでも目安にしてください。

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  • そばをもっと楽しむ
築地そばアカデミーで作り上げられた美味しいお蕎麦のエトセトラ。一覧でどうぞ。
c0064968_172738100.jpg御前かけ
c0064968_8261695.jpg鴨南蛮
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揚げなすと鴨のしぐれ煮そば
c0064968_7223742.jpgかきそば
c0064968_20575698.jpgかぶりつき牛蒡そば
0064968_19151559.jpgなめこおろしそば
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優しい味の、野菜そば
c0064968_16103521.jpg筍そば
c0064968_19272395.jpgおろしぶっかけそば
c0064968_7111854.jpg鮭のハラこそば
c0064968_2220547.jpg江戸前穴子そば
c0064968_10315727.jpgかき揚げそば
c0064968_0272167.jpgそばマルゲリータ
c0064968_14505173.jpgそばカルボナーラ
c0064968_10564673.jpg納豆そば
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