蕎麦の知恵袋

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そばうどん用語辞典

そば(蕎麦)とうどん(饂飩)の用語を辞典風にまとめています。ただいま、鋭意編集中ですが、その点をご理解いただいたうえでご利用をお願いします。
  • ASW
【Australian Standard White】オーストラリア(Australian)産小麦で、小麦の硬度は中間質(Standard)、色調は白(White)の略。主に日本向け麺用途に開発改良された品種でうどん向きの中力粉になる。年間90万トンほど輸入される。うどんにした時の色調の良さ、コシの出方、製麺のしやすさ、味の良さなどで麺用小麦としてすぐれた特性をもつ。この品種に対抗しようと「さぬきの夢 2009」(香育21号)という品種が登録されたが、内麦特有の柔質であるためASWの食味・製麺特性とはかなり異なる。
国産小麦のことを内麦(ないばく)、輸入された外国産小麦のことを外麦(がいばく)とよんで区別している。
  • あいのり
【相乗り】二種類以上の麺などが同じ器で提供されること。そばとうどん、並そばと田舎そば、変わりそばとダッタンそば、そばと寿司等、さまざまなバリエーションがある。合い盛りとも呼ばれる。
  • あおい
【葵】そばの異称。ソバの実はどこから見ても三つの角が見えミカド(帝)に通じるので、ソバは京都御所では忌み言葉だった。ソバの葉が葵(アオイ)と似ているところから、そばのことをアオイと言い換えた。
  • あきしん
【秋新】秋に収穫される本州産の新ソバ(秋ソバ)。「秋新」と呼ばれて北海道や青森の夏ソバとは区別される →あきそば、そば
  • 秋ソバ
【秋ソバ】ソバの種類は収穫時期によって、夏ソバと秋ソバに大別されている。秋ソバの播種は7月下旬(北東北)から9月上旬(九州)、収穫は9月中旬(北海道)から11月中旬(九州)となる。秋ソバは晩(おそ)まきする場合初霜となる前に収穫するため、播きどきを慎重に選ぶ必要がある。一般に、秋ソバは風味が良く、色調もすぐれている。 →あきしん、しんそば
  • あげざる
【揚げ笊】ゆで釜からそばを揚げる、深いざる。大きさは釜の大きさに合わせて、伝統的には、直径1尺6寸5分(約50cm)と1尺5寸5分(約47cm)の竹製であった。最近では、深いタイプの釜が増え、柄のない昔ながらの揚げ笊では釜底まできれいにすくえないため、直径40cm程度の柄付きのステンレス製に代わりつつある。 →よこざる
  • あげそば
【揚げ蕎麦】生のそばを揚げたもの。高温(約180℃)の油でじっくりと揚げる。余熱があるので、きつね色になるまで揚げてしまうと、焦げてしまう。幅広のきしめん状や三角に切った生地も面白い。揚げた直後に塩を振って仕上げるのが基本。砂糖を振ってもよい。めんを丸めて形を整え巣ごもりにし、中華焼きそば風にあんかけにするなど応用できる。
  • あげだまそば
【揚げ玉蕎麦】→たぬきそばを参照
  • あさごね
【朝捏ね】製麺する当日の朝に生地を仕込むこと。早朝から仕込む必要がある。
  • あし
【足】(1)そばのつなぎ具合を指す。粘着がよく切れにくいそばを「あしがある」などという。(2)素材の日持ちを指す。長い期間提供できる素材を「足が長い」という。
  • あしふみ
【足踏み】小麦粉に塩水を加えてまとめた生地を足で踏んで鍛える。ビニールシートに挟んで生地を何度も折り返して多層にしてグルテンを引き出す
  • あつあつ
【熱々】かけうどんのこと。熱いうどんに熱い汁→反対「ひやひや」
  • あつむぎ
【熱麦】釜揚げうどんのこと→反対冷や麦
  • あつもり
【熱盛り】もりそば(ざる、せいろ)は、ゆでたあと水洗いして冷たい状態で食べるのが基本だが、それを熱い湯に通してだすそばで、寒い冬場などに好まれる。湯通し、土用ともいう。古川柳「かへさせ給へとあつ盛のそばを強ひ」は、平家物語の悲劇の登場人物平敦盛とそばのあつ盛、返させ給えという呼び出し文句とお代わりをそれぞれかけて詠んだもの。→もりそば
  • あなごなんばん
【穴子南蛮】江戸前のアナゴを煮るか蒲焼きにして、温かいそばの上に置いた種物。たんざくに切ったネギを添える。アナゴは夏場が旬とされ、ウナギに似た魚体。調理は、熱湯をかけ霜降りにし、すぐに水で冷やし、皮のぬめりをとる。江戸末期にはすでに品書きにのっており、『酒飯手引草(しゅはんてびきぐさ)』(嘉永元年(一八四八))によると、江戸馬喰町一丁目角の伊勢屋闘藤七が「あなご南蛮」を売っている。
  • あまかわ
【甘皮】ソバの胚乳部を包んだ薄い皮。種皮ともいい、ソバの果皮(殻)を取り除いたすぐ下にある。新ソバのときは緑色をしており、それを製粉するとそば粉も緑色を帯びる。たんぱく質に富み、香りが高くそばをつなぐ力が強いので、そば打ちには重要な部分。そばの風味は甘皮と胚芽にあるといわれる。 →げんそば
  • あまじる
【甘汁】辛汁に対する言葉で、種物用に仕立てた飲み干せる汁の総称。東京を中心とする関東(江戸流)での用語。かけ汁ともいう。辛汁を基本にして作る場合は、辛汁を二番だしで約二倍強にのばし、さば節等甘汁専用のだしをベースに作る場合は、かえし一に対してだしで十倍程度を目安にのばす。 →かけじる →そばじる
  • あらい
【洗い】そばを水で洗うこと。ゆで上がったそばを釜から揚げざるで引きあげ、洗い桶でそばを洗ってぬめりを洗い落とす。夏場に冷たいそばとして提供する場合は、氷を入れた横びつで一瞬そばをしめる。種物とする場合は、しめずにそのまま湯通しする。いずれの場合も、しっかりと水切りすることが大切である。→けしょうみず、つらみず
  • あらぶし
【荒節】原料となる魚を五枚におろして節型にし、煮てからいぶし、乾燥させただけの節。「鬼節」ともいう。この状態では、節の表面には燻煙に含まれるタールなどがこびりついている。この表面を削り落とし、一旦「裸節」にしてからカビつけをほどこしたものが最高級品の「枯節(かれぶし)」である。 →かれぶし
  • あられそば
【霰蕎麦】温かいそばの上に海苔を敷き、バカガイ(青柳)の貝柱(小柱、大柱/大星)をかけそばの上に散らした種物。上から熱いかけ汁をかける。貝柱をあられ(霰)に見立てたもの。江戸時代後期から登場。あられそばを卵とじにしたのが「あられとじ」である。『今様職人尽歌合』下(文政八年(一八二五))に「風鈴のひゞきにつれてちる花は あられ蕎麦ともみえておかしや」とある。
  • あられとじ
【霰とじ】→あられそば
  • あわせそば
【合わせ蕎麦】=ちゅうやそば
  • あわびきり
【蚫切り】アワビをすりおろし、さらしな粉に アワビは細かい「おろしがね」でよくすりおろし、湯ごねしたさらしなそばの生地を冷まし、粉の総重量の10%程度の分量を目安に、おろしがねでよく擂りおろした鮑を練り込んだ変わりそば。湯ごねにするため、分量の割粉は鮑のあとに入れる
  • あわゆきそば
【淡雪蕎麦】卵の白身をメレンゲのように泡立てて温かいそばの上にかけ、もんだ海苔を散らして、春の淡雪を演出した種物。食べていくうちに卵白の泡がはかなく消えていくので、この名がついた。幕末ごろからあった東京のそば屋の種物の一つ。新海苔の出回る二、三月ごろの品書きである。
  • あん
【庵】江戸時代に道光庵という小寺があり、庵主が出す蕎麦が人気を集めた。そば店は、その人気にあやかろうと競って「庵」を店名につけるようになった。→どうこうあん
  • あんかけ
【餡掛け】汁量の二%の葛粉や片栗粉をかけ汁にとき、熱を加えてとろみをもつ汁に仕立て、種物に用いること。『浪花洛陽振(なにわらくようぶり)』(文政九年(1826))によると、大坂では、あんかけそばを「かつらめん」または「あんかけ」といい、「のっぺい」とも称した。
  • あんかけうどん
【餡掛け饂飩】片栗粉や葛粉でとろみをつけた餡をかけうどんの上に掛けるうどん。薬味は生姜が良く合う。
  • あんかけそば
【餡掛け蕎麦】→のっぺい
  • いかきり
【烏賊切り】イカ身をよくすりおろして裏ごしし、さらしな粉に練り込んだ変わりそば。
  • いかけ
【鋳掛】注文の品を二人前以上一緒に出すとときの麺類店の通し言葉。文化(1804~18)末年、大阪に夫婦連れで土瓶の焼きつぎに歩いた鋳掛屋があって評判になり、三代目中村歌右衛門がこれを題材として歌舞伎を演じたことから、夫婦一緒に歩くことを「鋳掛け」といった。
  • いかだ
【筏】そば打ちで水を入れすぎると多加水のゆるい生地となり、包丁で切ってあるのに、ゆで上げたときにめん同士がほぐれず、そばが「いかだ」のようにくっつく状態のこと。
  • いしうす
【石臼】円盤状の石で作られ、上臼と下臼に刻まれた規則的な目のすり合わせによって穀物などを碾く道具。現代の製粉所は、石臼とくらべはるかに能率のよいロール製粉が主流だが、高速回転で行うロール製粉時に生じる熱はそば粉の風味を落とすため、高級そば粉の製粉などではいまでも低速な石臼製粉も行なわれている。→ロールせいふん
  • いしうすせいふん
【石臼製粉】石臼でソバなどの穀物等を碾いて粉にすること。 →いしうす
  • いしうすびき
【石臼碾き】石臼製粉をすること。また、石臼で製粉した粉のことを指す場合もある。 →いしうす
  • いずしそば
【出石蕎麦】出石焼の平皿にそばをもり、つゆをかけてすすり込む。五皿で一人前。「皿そば」ともいわれる兵庫県豊岡市出石町の名物そば。出石は但島たじま(兵庫県)の小京都として栄えた出石藩の城下町。宝永三年(1706)信州上田から入封した仙石政明が信州そばを伝えたとも、沢庵和尚が里人に教えたとも言われている。 →さらそば
  • いずもそば
【出雲蕎麦】別名、割子そば。円形、朱塗りの木製の深皿(割子)を重ねて供する。島根県出雲大社を中心として発展したそばで、松江の第七代藩主・松平治郷不昧(まつだいらはるさとふまい)もそば好きで、「食い汁は少し辛目につくって少なくかけ、十分かき回したあと、よく噛みしめて食うがよい」といった記録があるとか。出雲には割子そばのほかに釜揚げそば、ぬくめそばがよく知られる。 →わりごそば、かまあげそば
  • いせうどん
【伊勢うどん】三重県伊勢市を中心に食べられる名物うどん。麺は極太で直径1cm近くあり、長時間茹でるため柔らかい。たまり醤油に出汁を加えた黒くて濃厚なタレを麺に絡めて食べる。いわゆる「かけうどん」とは見た目も食感も違う。単に「うどん」と呼ばれていたこの地方のうどんを、伊勢市麺類飲食業組合が1972年に「伊勢うどん」と呼ぶことにした。
  • いそきり
【磯切り】→のり切り
  • いそゆきそば
【磯雪蕎麦】冷たいそばに卵を落とし、よくかき混ぜ、受け皿と蓋のついた専用のせいろ(曲げわっぱ)に盛る。海苔をあしらって、もり汁を添える。「淡雪そば」と同じく、近年は見かけなくなったが、卵が貴重だったころの品書きの一つ。 →あわゆきそば
  • いた
【板】(1)板前または板元の略。そば店の「板前」は、板の前で麺を打つ職制のこと、そば店以外では料理人のことを指す/(2)板かまぼこの略。「イタ」または「イタツケ」とも。/(3)そばが切られていないめん帯のままの状態のこと
  • いたそば
【板蕎麦】山形市を中心とする山形県の内陸部では、「へぎ」の大箱に二〜三人前のそばを盛ったものを「板そば」と呼ぶ。よく似たものとして、庄内地方の温海(あつみ)温泉あたりでは同様の箱を「そね」と呼び、そばをのせて提供する。いっぽう、新潟県小千谷の「へぎそば」も「へぎ」にそばを盛るが、こちらはつなぎが布海苔(ふのり)となり盛り方も違う。 →へぎそば
  • いたまえ
【板前】そば打ち、うどん打ちの職。機械打ちの店では、「運転」ともいわれた
  • いちはち にのし さんほうちょう
【一鉢 二伸し 三包丁】手打ちそばの作業のポイントを語呂よく表した言葉。まず一番大事なのが最初の鉢の工程、水まわしとこねで、そばの良否がほぼ決まってしまい、最も奧が深い。のしは、しっかりと鉢の仕事ができているとスムーズに仕上が。生地がきちんと均一にのせていれば、最後の工程である包丁もきちんと切り揃う。「一こね 二伸し 三包丁」、「包丁三日、伸し三月、鉢三年」、「揉み方三年 切り方三月」などともいう。
  • いちばんこ
【一番粉】ロール製粉を使った製粉ラインでは、原料を段階的に製粉していくが、このとき一番めの製粉機で玄ソバから果皮(殻)を取り去った丸抜き、あるいは碾き割りの状態のものを軽く粗碾きすると種実の胚乳の中心部が砕けてくる。これからふるい出される粉が一番粉で、内層粉ともいう。色は甘皮やそば殼の微粉(ホシ)が排除されているので白く、たんぱく質をほとんど含まないのでそばらしい色や風味はない。高純度のソバでんぷんと言える。たんぱく質が少ないので、基本的に水ではそばとして繋がらず、湯ごねにしたのち割粉を加えて麺にする。現代は、色彩選別方式により原料の純度が高まってきたため、「さらしな粉」、「御膳粉」と呼ばれる商品も基本的にはこの手順で生産されている。 →にばんこ、ごぜんこ、さらしなこ、ロールせいふん
  • いちばんだし
【一番出汁】関西系の割烹の場合は、昆布を水に張った鍋に入れておき、昆布のグルタミン酸が十分に引き出した頃合いに鍋を加熱し、沸騰しないうちに昆布を取りだし、火を止めてから削っておいた鰹節を投入してイノシン酸を抽出する。汁が濁らないうちに濾したものが割烹の一番出汁である。 関東のそば店では、一番出汁の取り方にいくつかの方法がある。本枯節(カビ付けの鰹節)の厚削りを水から煮出す方法、チップと呼ばれる鰹節の粉砕片をお湯から煮出す方法、お湯を沸騰させ薄削りの鰹節を投入してごく短時間煮出す方法である。江戸前の出汁は、仕上げにあわせる返しの材料が濃口醤油であり、その中には醸造時に醸し出された豊富なグルタミン酸が含有するため出汁に昆布を入れないのが通例である。 二番出汁とは、これらの方法でとった出汁ガラを再び水から煮出して、出汁ガラに残った旨味を引き出す。使う目的によっては追い鰹(沸騰した二番出汁に薄削りの鰹節を加えて旨味をさらに補うこと)をすることもある。 そば店では、返しを一番出汁で割りこむと「もり汁」になり、返しを一番出汁と二番出汁をあわせて薄めに割り込めば「かけ汁」となる。その配合や割合、そして細かな手順の相違は、各店各様である
  • いなかそば
【田舎蕎麦】都会のそば店が、野趣にあふれた地方のそばを、その店それぞれの解釈で演出して提供するそばの総称。太めで黒っぽい色をしていることが多い。この田舎そばに対して、さらしな粉を使った白いさらしなそばが対照的な品書きとなる。→さらしなそば
  • いなにわうどん
【稲庭饂飩】稲庭(秋田)。江戸時代、藩の重要な産物として発展した稲庭うどん。庶民は食べられなかった高級干麺である。献上品と作られたため足で踏むことをしない製法は手捏で生地が作られる。手延べの製法なので素麺の作り方によく似ているが稲庭では油の変わりに澱粉を使って生地の乾燥を防ぐ。完成までに4日かかるうどん。一子相伝で伝えられた製法は現在稲庭にあるうどん組合に公開されている。佐藤養助商店を軸に高級干麺の代名詞となっている。
  • いなりそば
【稲荷蕎麦】=きつねそば
  • いぶきそば
【伊吹蕎麦】伊吹山(滋賀・岐阜両県にまたがる。標高1337m)から伊吹おろしが吹く山麓(滋賀県坂田郡伊吹町)はそばの名所といわれた。蕉門十哲の一人森川許六(もりかわきょりく)の『風俗文選』には、「伊吹蕎麦天下に隠れなければ、からみ大根または此山を極上とさだむ」とあり、厳しい伊吹おろしのなかで育った「ねずみダイコン」(辛味ダイコン)でそばを称讚している。これが転じて、そばがきで作られる団子は「伊吹団子」と呼ばれる。
  • いやざいらい
【祖谷在来】徳島県西部の山の懷である祖谷地方で栽培されている在来種のソバ。粒は小粒で、丸みの強い形状をしている。
  • いやそば
【祖谷ソバ】祖谷は、源平屋島の合戦で敗れた平国盛の一族郎党の平家落人が逃れ住んだ山間の地。 徳島県池田町から祖谷川に沿って走る祖谷街道を南に20km入ったところで、四国山脈の霊峰・剱山のふもとである。 かつてはソバ、アワ、ヒエ、キビを常食として、「祖谷の粉碾き唄」を歌いながら石臼でそば粉を挽いた。また祖谷ではそば米もつくられる。 →そばごめ
  • いろもの
【色物】変わりそばのなかでも、とくに色が鮮やかに出て、見ても楽しめるものをいう。色の白いさらしな粉に、種々の混ぜものをしてそばに作ると、鮮やかな色をした変わりそばとなる。茶そば(緑)、柚子切り(黄)、紫芋(紫)などは色物の代表。→かわりそば、さらしなこ
  • うえした
【上下】大きなそば店だとさまざまな職制に分かれているが、小規模な店において、そば打ちも釜前(茹で方)も両方こなす人のことを指した。
  • うこんきり
【鬱金切り】カレー粉の原料や沢庵漬の色付けにも使われる、ショウガ科の多年草であるウコン(ターメリック)の粉末を、粉の総量の2〜3%の割合でさらしな粉に練り込んだ変わりそば。→きぎり【黄切り】ともいう
  • うすずみ
【薄墨】そばがきを指す女房言葉。素材の色合いをイメージした表現であろう。『女重宝記大成』(宝永八年(1711))に「そばかいもちは、うすすみ」とある。
  • うずらそば
【鶉蕎麦】美々卯の初代薩摩平太郎が考案し、大正14年(1925)の創業当初から売り出した。 鶏卵ではもり汁の味を薄めてしまうことから、もり汁に鶉の卵二個をつけ、そばを蒸籠に乗せた「熱もり」とともに出した。当時、高級料亭でしか使っていなかった高価なウズラの卵を、大衆的なそばに使い注目を集めた。
  • うちいりそば
【討入蕎麦】巷説では、忠臣蔵の赤穂浪士大石良雄らが討入りの前にそばを食べたといわれている。 元禄十五年(1702)12月15日に吉良義央(きらよしなか)を討って首尾よく本懐をとげたが、その前夜、そば屋楠屋十兵衛またはうどん屋九兵衛の二階で勢揃いし、縁起を祝って手打ちそばやうどんを食べたということになっている。 これにちなみ、14日の義士祭にはそば供養を行なうしきたりがある。 しかし、どうやら真説は、本所林町五丁目の堀部安兵衛宅、本所三ツ目横町の杉野十平次宅、本所二ツ目相生町三丁目の前原伊助・神崎与五郎宅の三カ所に集合したのが正しいようだ。 『寺坂信行筆記』によると、両国矢ノ倉米沢町にある堀部弥兵衛宅で饗応を受けたあと、吉田忠左衛門、同沢右衛門、原惣右衛門ら6〜7人はまだ時間が早いため、両国橋向川岸町の茶屋亀田屋に立ち寄り、そば切りなど申しつけ、ゆるゆると休息した。そして八ツ時(午前2時)前に安兵衛宅へ集まった、とある。これが巷説の背景となったようだ。
  • うちこ
【打ち粉】麺を打つときに用いる粉。そば打ちで打ち粉を使う目的は、大きく分けて2つある。ひとつは玉にした生地のべたつきをおさえて、ノシ板の上での取扱いを容易にすること。もうひとつは、切った麺がふたたびくっつかないように断面のべたつきをおさえることである。生地がつかないようにする。機械打ちでもロールからめん帯が巻き上げられるときに使われる。そばをのし終えるまでは、生地を傷めないよう、できるだけ少なく打ち粉を用いるようにするのが肝心。うどんの打ち粉は、コーンスターチ等のでんぷん系を使うと仕事がしやすい。→はなこ
  • うちこみうどん
【打ち込み饂飩】汁に生のうどんを入れて煮込む調理法。汁に塩が溶け出さないようにうどんの仕込みに塩水を使用せずに真水を使う。打ち粉で独特のとろみが出る。香川ではドジョウ饂飩が有名。
  • うちばん
【打ち板】=のしだい、のしいた、めんだい
  • うちぼう
【打ち棒】→めんぼう
  • うちわそば
【団扇蕎麦】そばがきを厚さ1,5cm程度の団扇型に固めたものを串にさして焼く岩手県大迫町の郷土料理。
  • うどん
【饂飩】小麦粉(中力粉)と塩水を混ぜて捏ねて細長くして麺状にしたもの。手で引っ張って伸ばす手延べ方式と生地を麺棒で伸して畳んで切る切り麺方式がある。日本への製法の渡来は奈良時代と言われているが確かな資料は残っていない。現代のうどんの作り方が広く普及したのは江戸時代からである。日本各地に手延べ方式、切り麺方式のご当地饂飩が各種存在する。各地への伝播は僧侶の布教や回船によるものが考えられている。手延べでは五島うどん、氷見うどん、稲庭うどんが有名である。同様の製法に素麺を加えることができる。切り麺では讃岐うどん、武蔵野うどん、水沢うどん、名古屋うどん、桐生うどんなどが有名である。
  • うどんいっしゃく そばはっすん
【饂飩一尺 蕎麦八寸】うどん、そばの一番食べやすいとされている長さを言い表した言葉。
  • うどんすき
【饂飩寿喜】大坂のうどん店『みみ卯』の登録商標のうどんメニュー。魚介類を使った饂飩鍋。
  • うばく
【烏麦】ソバの別名。同字を訓読みするカラスムギとは別。
  • うばこ
【上端粉】製粉のとき最後に残った粗粉で、製麺しにくい粉。動物の飼料にしたりする。=さなご
  • うまかたそば
【馬方蕎麦】江戸時代、四谷御門外にあった寛永十八年(1641)の創業といわれるそば店・太田屋五郎の俗称。界隈は、小荷駄馬でにぎわい、碾きぐるみの黒っぽいそばだったが、他店よりも量が多かったので評判となった。『酒飯手引草(しゅはんてびきぐさ)』(嘉永元年(1848))での記述を最後に幕末ごろまでには消滅した。
  • うわおき
【上置き】そば、うどんの種物で、めんの上に乗せる種のことを上置きという。天ぷらが代表的なもので、いなりあげ、ナメコから納豆までいろいろな上置きが考えられてきた。
  • うんきそば
【運気蕎麦】=としこしそば
  • えきそば
【駅蕎麦】駅のホームで営業する駅そば店の歴史は定かではないが、碓氷峠を通過するために専用の機関車を付け換えるため、列車が長時間停車する軽井沢駅で明治時代にできたのが最初という節が有力である。長距離列車が長時間停車するホームを中心に全国に広がっていき、昭和40年代ごろから登場した立ち食いそば店の営業形態の原型を作った。
  • えちぜんおろしそば
【越前おろしそば】越(福井県)前には、源助ダイコン、勢浜ダイコンなどそばに向く辛味ダイコンがあり、それをそばの旨味に調和させたところが特徴。 おろしそばは「越前そば」として知られている。
  • えちぜんそば
【越前蕎麦】=越前おろしそば
  • えどじる
【江戸汁】吉原の花魁(おいらん)の几帳が好んだごく辛いそば汁。三田村鳶魚(えんぎょ)の考証によれば、醤油と味醂を同割りであわせたものを半分にまで煮詰めたもの。
  • えびきり
【海老切り】エビのすり身をさらしな粉に練り込んだ変わりそば。 エビの身の背わたをとり、みりんと酒の煮切り汁を加え、よくすりつぶしたのちに裏ごしにかけてそば粉に混ぜ込む。干した桜エビを粉末にして打ち込む方法もある。
  • えびそば
【海老蕎麦】=えびきり
  • えんぎりそば
【縁切り蕎麦】=としこしそば
  • おいうち
【追い打ち】閉店間際にそばが足りなくなり、当座必要な量のそばを打つこと。=追いかけ
  • おいかけ
【追い掛け】途中で足りなくなったので追加すること、汁の追い掛け、生(なま=そばのこと)の追いかけ、というように用いる。
  • おいまわし
【追い回し】厨房に入り立てで、仕事を覚えるために雑用をまかせられる見習い=まごつき
  • おおたあん
【太田庵】おかめそばを考案したそば店
  • おおつごもりそば
【大晦蕎麦】大晦日に食べるそば。 現代も歳末の風物詩となっているが、江戸時代から庶民の間に定着をみた食習慣となっている。その由来については、次のような諸説がある。 (1) 鎌倉時代、博多の承天寺で年の瀬を越せない町民に「世直しそば」と称して、そば餅を振る舞ったところ、翌年からみな運が向いてきたため、大晦日に「運そば」を食べる慣わしが生じたという説。 (2) 室町時代、関東三長者の一人増淵民部が毎年の大晦日に無事息災を祝い「世の中に目出度いものは蕎麦の種、花咲き実りみかどおさまる」と歌い、家人ともどもそばがきを食べたのがおこりとする説。 (3) そば切りは長くのびるので、延命長寿や身代が細く長くのびるようにと願ったという説。「寿命そば」「のびそば」ともいう。 (4)そばは切れやすいから、旧年の労苦や災厄をきれいサッパリ切り捨てるために食べたという説。「縁切りそば」「年切りそば」「借銭切り」「勘定そば」と呼ばれた。 (4) 金銀細工師が散らかった金粉を寄せるのにそば粉を使うため、金を集める縁起で始まったという説。 (5) 『本朝食鑑』に「蕎麦は気を降し腸を寛(ゆるく)し、能(よ)く腸胃の滓穢(しわい)積滞を練(ね)る」とあり、新陳代謝により体内を清浄にして新年を迎えるというそば効能説。ネギを添えるのも、清め祓(はら)う神官の禰宜(ねぎ)に通じるという。=としこしそば
  • おおばきり
【大葉切り】=しそ切り
  • おおもり
【大盛】そば店の場合、もりそばの大盛りが、「大もり」となる。他の品書きに大盛りの設定がある場合、「大ざる」「大きつね」等、「大」の文字を頭に付すことが多い。
  • おか
【岡】カッパが岡に上がっている姿から、天ぷらなどの上置きをそばとは別の皿で出すときは「天ぷらを岡で」と通す。
  • おかめそば
【阿亀蕎麦】幕末の頃、江戸下谷七軒町(根津あたり)の「おかめ太田庵」が考案した一種のキャラクター種物。 具の並べ方は、一番上に娘の髪にかたどって島田湯葉を置き、鼻は松茸の薄切りにして、鼻にみたてて元気よく傘の部分を上に置く、かまぼこを二枚左右に寄せ合わせて頬に作り、口には椎茸を用い、しもぶくれの顔をつくる。 さらに玉子焼きを口にみたてたり、あるいは三角形に切って、えり元にみたてたり、また髪飾りに椎茸や、小松菜をそえたり、黒髪を思わせるため湯葉の下に八つ切りの海苔を敷いたり、若い娘の頬を表すのに紅渦巻きの鳴門二切れをおくなど、いろいろ工夫された。 蓋つきの椀に盛り付け、蓋を開けた時にユーモアのあるおかめの面が登場する趣向が江戸っ子の洒落っ気を感じさせた。 松茸を用いることから、本来は福の神とゆかりが深い11月の酉の市の頃の種物であったが、やがて通年の種物となった。
  • おきなわそば
【沖縄そば】「沖縄そば」は、標準語に統一された呼び方で、沖縄では「うちなーすば」という。麺の材料は、小麦粉、塩、かん水のみで蕎麦粉は一切使われていない。(昔はかん水ではなく、ガジュマルやデイゴの木の木灰を使っていたが、現在はかん水を使う店が大多数になっている)出汁は、豚骨や鰹節をベースにしたさっぱりとした薄味。トッピングには、豚の三枚肉、かまぼこ、紅しょうが、小ネギが基本形。中国から沖縄に麺類が伝わったのは450〜500年前頃という説があり、その後、琉球王朝の宮廷料理として食されていたという。廃藩置県により小麦粉が比較的自由に流通するようになってから一般に知られるようになった。庶民が普通に食べられるようになったのは昭和初期ごろからと考えられている。本土復帰後、そば粉を一切使用していない「沖縄そば」は、蕎麦ではないという理由で「沖縄そば」という呼び方を禁止された時期があったが、1979年(昭和54年)10月17日公正委員会から正式に「沖縄そば」の呼称認定を受けた。
  • おこえがかり
【お声掛かり】そばと酒を同時に通すとき。「もり一枚、お燗つき、お声掛かり」とすると、そばを酒を飲み終えた頃合いに出すという意味になる。実際にお客様からの声がかりでそばを出すこともあるが、大抵は客席係である花番さんが「そろそろおそばをお持ちしましょうか?」などと確認する。
  • おしな
【御雛】まだ一人前にならない見習い中の者。「雛」を「しな」と発音するのは、江戸なまり。釜の湯は、見習いが空腹をいやすのに飲むので「おしな湯」。=まごつき
  • おたかそば
【御鷹蕎麦】=よたかそば
  • おだまき
【小田巻】「小田巻蒸し」の略。上方で広まり江戸に伝わった本来はうどん台の種物、そばでも作られる。茹でた麺の上にシイタケ、かまぼこ、ギンナンなど、色とりどりの具をのせ、出汁でゆるくといた卵をかけて10〜15分間蒸すと、茶碗蒸し風に仕上がる。
  • おだまきそば
【小田巻蕎麦】=おだまき
  • おだまきむし
【苧環蒸・小田巻き蒸】うどんをベースに作る茶碗蒸し。大阪発祥の贅沢なメニュー。椎茸・銀杏・ユリネ・蒲鉾・焼穴子などが入る。うどん用の出汁で玉子を溶いてどんぶりに饂飩と具を載せて蒸して作る。
  • おぢやそば
【小千谷蕎麦】 小千谷は佐渡の金塊を江戸に運ぶ三国街道の宿駅として栄え、十日町とともに織物の産地である。 新潟県中魚沼郡川西町の小嶋屋初代小林重太郎が、着物にフノリ(布海苔・海蘿、フノリ科の紅藻)を使用していたことをヒントに、そばのつなぎとすることを思いついたという。 洗い水から親指にそばをからませて軽く手振りして水を切り、一人前5個を蒸籠に盛り、1個ずつ汁につけて食べるのが基本。 「生舟」ほどの大きな「へぎ」に約30個を盛る「へぎそば」もある。 磯の香りと歯切れの良さが土着した味覚となっている。 「手振りそば」ともいう。=へぎそば
  • おつかみ
【御掴み】お客様が自分で商品を持ち帰るときにに通す言葉。
  • おとしぼうちょう
【落とし包丁】生地に当てた包丁を真っ直ぐ下に落とす切り方。
  • おにかけ
【御煮掛け】=にかけ
  • おにじる
【鬼汁】ねずみダイコンという辛味ダイコンの絞り汁に焼き味噌を加えて布で漉して作るつけ汁。 鬼が涙を流すくらい辛い。 長野県上田地方では、くるみ醤油と合わせたものを「真田汁」と呼ぶ。
  • おはらぎそば
【大原木蕎麦】卵白で繋いだそばを蒸し、京都の大原女(おはらめ)が売るたきぎのように束ね、そばつゆと薬味で食べるそば料理の一種。
  • おひな
【御雛】=おしな
  • おひねり
【御捻】昔は「もりそば」を二枚注文するのが普通だったので、そば店では開店して最初の客がもり一枚だけ注文することをおひねりと言ってきらった。「おひねり」のゆえんは、賽銭または祝儀が、一つしか出さないところから
  • おやこなんばん
【親子南蛮】 鳥肉と短冊に切ったネギを卵でとじ、温かいそばに上置きする種物。鷄と卵だから「親子」。すでに江戸末期の品書きに現れており『守貞漫稿』には「親子南蛮 鴨肉を加えし鶏卵とじ也。けだし鴨肉といへども多くは雁などを用ふるもの也」とある。
  • おろしそば
【卸し蕎麦】大根おろしとそばは、相性のよい食材で全国でいろいろな提供方法で食べられている。ダイコンおろしに醤油を加えたり、そば汁を混ぜたり、冷たいもり、温かいかけで食べたりと、さまざまである。→さなだじる、えちぜんおろしそば、おにじる
  • かいきり
【貝切り】平貝(タイラギ)を包丁で良くたたき、みりんと酒を同量で合わせた煮切りを加えて充分にすりおろし、裏ごしにかけて練り上がる直前のさらしなそばの生地に混ぜて仕上げた変わりそば。
  • かいだそば
【開田蕎麦】御嶽山の麓である長野県木曽郡木曽町開田地区は古来からの高原ソバの産地で、「開田そば」として知られている。「お煮かけそば」や「すんきそば」など、特徴ある食べ方がある。→にかけ、すんき
  • かえざる
【替え笊】釜の中に残ったそばの切れ端を揚げざるですくうことを指す。こまめに替えざるをすると、釜湯の濁りをおさえられ、効率よく大量のそばが茹でられる。
  • かえし
【返し】醤油と砂糖と味醂を混ぜ合わせたものをいい、味醂を省く場合もある。 そば店では、一般的に返しにだしを合わせてだし汁を作るため、そば汁の元となるところから「もとじる(元汁)」ともいう。 醤油を「煮返す」ことからきた言葉といわれている。 材料を返しとしてあわせておくことで、醤油の角をとり、まろやかにする。 また、返しにだしやみりんなどを合わせ、天つゆや丼の汁など各種の料理にも使用する。 かえしの取り方は、大別すると (1)味醂を煮きりながら砂糖を溶かし、さらに醤油を加えて80℃程度まで加熱する新式の本返し (2)砂糖を加熱した醤油に加えて溶かし、あとから味醂を加える伝統的な本返し(3)水で溶かした砂糖と煮きった味醂を醤油と混ぜ醤油に加熱しない生返し (4) 伝統的本返しと同様に少量の醤油仕込んでいき、最後に加熱していない醤油を加える半生返しの四通りがあり、製法、材料やねかせる期間など店により様々である。さらに、返しを全く使わない店もある。 いずれの方式を採用するにせよ、醤油は決して沸騰させないようにする。醤油を沸騰させると急速に褐変し、著しく劣化する。また、保存期間に酸化して劣化・変敗が進むため、仕込んでから一ヶ月以内には使いきりたい。
  • かえしがめ
【返し瓶】「かえし」を保存しておくための陶製の容器。 冷暗所に置く。
  • かえんりつ
【加塩率】塩水を作るときの塩の量。一般的にはボーメといわれうどんの場合は10パーセント食塩水を10ボーメと呼ぶ。季節にや小麦粉の種類などにもよるが一般的には8%食塩水から15パーセント食塩水を45から50パーセント加水することが多い。
  • かえり
【返り】釜の中に入れられたそばが、釜の対流にのって、ゆっくりと向こうの縁に到着して下に沈み、手前からあがってくる、といったそばの動きのこと。→ゆでまえははじ
  • かかりもの
【懸り物】出前のとき、他に同じ方面の注文があれば、それも併せて持ち出すこと、また、こしらえる順番を調整すること。
  • かきそば
【牡蠣蕎麦】新鮮なカキを真水で洗い、短冊に切ったネギとともにかけ汁の中で加熱して温かいそばの上置きして短冊や筒切りのネギをあしらう。冬場の種物。長ネギを用いるものは、牡蠣南蛮ともいう。
  • かきたま
【掻き玉】かけ汁に片栗粉でとろみをつけ、卵をといて加えた種物。 片栗粉は汁全体の2%とし、少量の常温のかけ汁に溶いておき、あらかじめ沸騰させたかけじるに加えてとろみをつける。 汁を十分に煮立てておき、その中へ卵をとき入れると濁らない。 うどん台が原則で、そばは「台がわり」となる。 卵に火が通りすぎないうちに、温めておいたそばにかけてでき上りである。 薬味にはおろししょうがも合う。
  • かきなんばん
【牡蠣南蛮】=かきそば
  • かくせいろ
【角蒸籠】そばを盛りつける角型の蒸籠とすだれ。四隅に角(つの)をもつものもある。
  • かけ
【掛け】=かけそば
  • かけうどん
【掛け饂飩】=すうどん
  • かけじる
【掛け汁】もり汁に対する言葉で、東京を中心とする関東での用語。かけ用・種物用で飲み干せる濃さの汁の総称。「かけづゆ」ともいう。もり汁をベースにして作る場合は、もり汁を「二番だし」で約2倍位にのばして作る場合が多いが、かけ汁用のだしを合わせて作る場合は、かえし1に対してだし10を目安に混ぜ合わせて作る。
  • かけそば
【掛け蕎麦】もともとは、器に盛られたそばに汁をぶっかけて食べたのがはじまり。あまり上品とは言えず、女性は食べてはいけないという禁止令まで出た。元禄(1688〜1704)頃から「ぶっかけ」と称して丼にそばを入れ、上から汁をかける冷やがけが現れた。これが現在の「かけ」の原型で、その後、寒い季節にはそばを温め汁を熱くするようになり、器も一つですむところから提供方法として定着した。「ぶっかけ」が「かけ」と呼ばれるようになったのは寛政(1789〜1801)ごろになってからと言われている。
  • かけつゆ
【掛け露】=かけじる
  • かけぶた
【掛け蓋】=たねぶた
  • かしわなんばん
【かしわ南蛮】=とりなんばん
  • かぜをひく
【風邪を引く】そば粉は風と熱に弱い。長く空気に触れると乾き、香りがとび、製麺もしにくくなるので保管に注意する。
  • かち
【勝ち】二種類の注文数が一つ違いの奇数となったとき、多い方を先にして勝ちをつけ、最後にトータルの数を言う。「天ぷら勝って七杯かも」は、天ぷらそば四杯、鴨南蛮三杯の意味。偶数のときは「と」が使われ「とじとまきで四杯」は、玉子とじ、花巻き各二杯の意味。
  • かつおぶし
【鰹節】かつおぶしの原料は本マガツオ(真カツオ)であり、動物性の旨味であるイノシン酸を多く含んでいる。それが濃口醤油に内在するグルタミン酸と相乗効果を発揮することによりそば汁に代表される江戸前の味を提供する。 産地としては、鹿児島県の枕崎、山川(薩摩節)、静岡県の焼津(焼津節)、高知県の土佐清水(土佐節)などが代表的。 魚体の大きさにより、本節は3kg以上の大型魚から、亀節はそれ以下のものから作られる。 生魚を3枚におろし、左右の片身を製品化したのが亀節、片身をさらに血合い部分で背身(雄節)と、腹身(雌節)に分けたものを本節という。 雌節は、腹身であるため脂肪分が多く旨味にまさり、雄節は、脂肪分が少なく、すっきりとした上質なだしがとれる。 また、亀節は、血合いが取り去られずに雄節と雌節が抱き合わされている状態なので、削る前に血合いを境に割って、骨や血合いの部分を十分に掃除してから使いたい。 濃厚な味がとれるため、本節より亀節を好むそば店も多い。 鰹節はもともと関西を中心に焙乾しただけの荒節として提供されていたが、船便で関東に運ぶときに偶然ついてしまったカビ付の鰹節が、まろやかな出汁となることが発見され、それ以来あえてカビをつけた「枯節」が関東のそば店などで珍重されるようになった。枯節のカビ付け工程は、一番から五番まであり、カビ付けしては日乾し、カピを払い落とす作業を繰り返す。また、枯節はカビ付けをよくするため燻煙の香りが最も強い表面を削り落とすため、荒節に比べ香りはやわらかで、熟成された旨みと香りとなる。
  • かつぎ
【担ぎ】(廃語)出前をする人
  • かっけ
【欠片】青森・岩手地方の方言で、そばの切れ端のこと。生地を三角に切ったそばをこう呼ぶこともある。
  • かまあげうどん
【釜揚げ饂飩】茹で釜から直接うどんを抜いて、茹で湯を張るメニュー。つけ汁も温めて供する。水で締めない分小麦の香る独特の優しい食感となる。『釜抜き』とも言う。
  • かまあげそば
【釜揚げ蕎麦】出雲地方の郷土食の一つ。 茹でたての熱いそばをそば湯と一緒に器に盛り、冷たく濃いそば汁を直接かけて好みで味をととのえる。
  • かまたま
【釜玉・釜卵】どんぶりに割りいれた鶏卵に釜揚げのうどんを入れて手早くかき混ぜて玉子を半熟状にする。生醤油やつけだし等で回しがけして熱いうちに食べる。うどん版の玉子掛けご飯。讃岐の『山越(やまごえ)うどん』が元祖と言われている。
  • かまぶた
【釜蓋】そば釜の蓋。かつては木製だったが、金属製のものも増えてきた。
  • かままえ
【釜前】釜の前にいてそばを茹でたり、盛ったり、種物のそばを湯通しする人。江戸時代からそば職人の中でも最上位にあった。小規模店舗の場合、主人がこの役をつとめる場合が多い。「釜前」と盛りつけをする「中台」は連携が大切で、息があわないと注文を的確にこなせなくなる。
  • かもすい
【鴨吸い】=かもぬき
  • かもなんばん
【鴨南蛮】季節蕎麦。 江戸時代からある合鴨を使う代表的な種物の一つ。 合鴨は真鴨(俗に「青首」ともよばれる)の雄と家鴨(あひる)の雌との交配種で、別名アヒルガモという。 合鴨は「だき」と呼ばれる胸の肉の形がよく「べっそく」とよばれる腿のほうが味が濃厚である。 鴨肉と長ネギをかけ汁で煮てから、そばに上置きをし、かけ汁をはるのが基本的な作り方だが、煮る前にフライパンで鴨肉と長ネギをさっと焼く方法がある。 調理のポイントは、火加減である。鴨肉は、必ず汁が煮立ってから入れ、生でないよう、固すぎないよう仕上げる。 ねぎは、昔から鴨と相性のよいものとされ、煮るだけでもよく、切らずに焼いたり、あるいは、胡麻油か鴨の脂でサッと炒めてもよい。 薬味は、さらしねぎ、粉山椒など、 また、季節によって柚子や木の芽をそえるのもよい。 鴨は、脂ののった冬季が句であり、鳥肉のうち最も美味なものとして賞味されるが、現在は通年出す店もある。 鴨肉のだしのでた、こくのある汁のうまさも、また、「鴨南ばん」の魅力である。
  • かもぬき
【鴨抜き】鴨南ばんにそばを入れずに提供すること(そばを入れずに種物の上置きだけを提供することを「ぬき」という)。
  • かやく
【加薬・加役】(1) そば・うどんの薬味。香味。 (2) 主として関西で、めん類、茶碗蒸し、飯などに加え、または混ぜるもろもろの具をいう。 (3) めん類にのせる油揚げなどの上置き。
  • かやくうどん
【加薬饂飩】色々な具を載せたうどんで具は鶏肉や蒲鉾・きのこ類・ワカメなどが多い。
  • からじる
【辛汁】=もりじる
  • からみ
【辛味】ダイコンおろし、ワサビ、トウガラシ、カラシ、ショウガ、コショウなど、めんの旨味をひきたてる辛味。やくみ・かやくともいう。
  • からみそば
【辛味蕎麦】=おろしそば
  • からみだいこん
【辛味大根】川口市赤山の「赤山大根」、京都や信州の鼠に似ている「鼠大根」、北風を受ける山間地でとれる「北山大根」「山大根」など、昔からそばにはずんぐりとしていて水分が少なくピリッとした辛味が強い品種のダイコンおろし汁が最適とされてきた。 一時期は育てやすい青首大根が出回り辛味大根は影をひそめたが、最近では、そばに合う辛味が再評価され、親田辛味ダイコン(長野・下伊那)、ねずみダイコン(長野・更埴ほか)、戸隠ダイコン(長野・戸隠)、しぼりダイコン(秋田・鹿角)、辛味ダイコン(京都・鷹ヶ峰)など各地で昔ながらの辛味ダイコンの生産が盛んになっている。
  • カレーうどん
【カレー饂飩】カレー粉をうどん用の出汁で割って作るうどん。具は鶏・豚肉・タマネギ・ナガネギなど、とろみをつける場合は片栗粉を用いる。牛乳や生クリームを用いて仕上るミルキー仕上げカレーうどんも人気がある。
  • カレーそば
【カレー蕎麦】→カレーなんばん
  • カレーなんばん
【カレー南蛮】カレー蕎麦用のたねをそば用のかけ汁でのばし、でんぷんでとろみをつけるのが基本。西早稲田の三朝庵が明治時代に開発したのが元祖と言われる。南蛮には必ずねぎが入る。
  • かれぶし
【枯れ節】→かつおぶし
  • かわらそば
【瓦蕎麦】山口県の川棚温泉(かわだな)の名物。 熱した瓦のうえに炒めた茶そば、牛肉、錦糸玉子、ネギ、海苔のほか、レモンと紅葉おろしがのってくる。特製の汁で食べる。 山口市の湯田温泉や、九州の一部でも瓦そばを出すところがある。
  • かわりそば
【変わり蕎麦】江戸の中期に登場し、ソバの実のでんぷん質の部分だけを製粉した「さらしな粉」をベースに、ゆず、抹茶、けしなどを練り込んで打ったそば。特に色が鮮やかで、見ても楽しめるものを「色物」と呼ぶ。享和3(1803)年に著された「小堀屋秘伝書」に記された変わり麺は57種を数え、変わり蕎麦の源流となっている。
  • かんざらしそば
【寒晒し蕎麦】そばの実を寒中に冷たい水、あるいは清流に数日間浸けてから寒風にさらし、それを乾燥させたのちに碾いた粉で打つそば。 元禄10(1697)年刊の『本朝食鑑』は、「臘月(陰暦12月)、殻のついたままの玄ソバを30日間水に浸し、立春の日に取り出し、曝(さらし)乾してから収蔵するもの」と製法を示している。 そばの味が落ちる夏の暑中にも新そばの風味が楽しめるそばといわれ、この玄ソバから挽いたさらしな粉は最上品とされた。 江戸時代、諸大名から将軍家へ時候にしたがった時献上というのがあり、信濃国高遠藩が「暑中信州寒晒蕎麦」を献上したという記録がある。
  • かんしょそば
【甘藷蕎麦】サツマイモ(カンチョ、カライモ)の粉に、ヤマイモ、そば粉、小麦粉などを混ぜ合わせ、 湯もみして、こねたのをカライモツキで線状に押し出し、強火で蒸したあと水洗いして盛りつけ、そば汁で供する。 熊本県天草や長崎県島原は古くからカンチョ(サツマイモ)の栽培がさかんで、サツマイモ粉にヤマイモか小麦粉をまぜたカンチョそばがある。 島原ではコプ・カツオ・アゴ(トビウオ)のだし汁をかけて、 対馬(下県郡厳原町阿連)では、魚介類と椎茸のだしを使って食べる。
  • かんばん
【看板】店名、屋号、営業品目などを示すサイン。 昔ながらの看板は、欅(けやき)材が普通だが、杉、檜(ひのき)材もある。 軒下に吊す「軒看板」、ひさしの上に乗せる「屋根看板」のほか、「立て看板」、「置き看板」などがある。 また夜間の営業を強調するのに使われた「行灯」も看板の一種。戦前のそば店では、出格子に檜の一枚板で木彫りの看板をかかげる習わしがあり、その看板を「まねき」と呼び、さらに「まねき」の脇に小さめの「板看板」をかけた。終業のことを「看板にする」というが、それはこの板看板をはずして店に入れることを指している。
  • かんめん
【乾麺】保存に好適なように乾燥させた麺類の総称。手軽に使える点が便利で、そば、うどん、ひやむぎ、そうめんなどがある。基本的に工場生産され、そばうどん店で手打ちまたは機械打ちで打たれるそばうどんとは製造方法が大きく異なる。稲庭うどん、五島うどん、館林うどんなどが有る。
  • かんもり
【寒盛り】冷や「もり」のこと。 「土用」の対語で、熱もり(土用)に対して、冷やもりを「寒(かん)」という。温かいものと冷たいものが同時に出るときは、「土用寒(どようかん)」と通す。蕎麦屋の通し言葉として今でも使われる。→どようかん
  • きかいうち
【機械打ち】手打ちに対する言葉。明治16年に真崎照郷が製麺機を発明し、明治から大正にかけて全国に普及した。現在では、さまざまな種類の製麺機があり、また各店舗でどこまで機械にまかせているかは一様でない。来店者の多い大規模な店舗では、どのような機械を導入するかによって、営業の効率や形態まで左右するので慎重に見きわめたい。=器械打ち
  • きくねり
【菊練り】そば玉をつくるとき、団子状にまとめる作業のこと。 表面のつや(ツラ)を出す作業をくりかえすと、自然にキズが手前の一点に集まってきて、玉の中心に菊の花のようなシワが出来るところから、この名がついた。
  • きくもみ
【菊揉み】=きくねり
  • きこ
【生粉】そば店では、つなぎの小麦粉を「割り粉」というが、これに対してそば粉そのものを「生粉(きこ)」と呼んだ。このことから、「つなぎ」を使わずそば粉だけで打つことを「生粉打ち」という。
  • きこうち
【生粉打ち】つなぎを入れず、そば粉十割で打つこと。
  • きざみうどん
【刻みうどん】具材にネギと油揚げを刻んだものを使ううどん。主に関西で人気がある。
  • きじそば
【雉蕎麦】秋そばの穫れる時期はちょうどキジの肉が旨くなる。キジで出汁をとった汁で食べるそばをいう。
  • きしめん
【棊子麺】生地を薄く伸ばし幅広に切ったうどんの種類。主に名古屋が有名。名前の由来は、紀州の麺が始まりとか、雉が具材だったなどいろいろある。薄いので火の通りがよく早く茹でられる。ひもかわうどんと同義に用いられることもある。
  • きじょうゆうどん
【生醤油饂飩】茹で上げて締めたうどんに生醤油をかけて食べるメニュー。醤油は出汁で調整されただし醤油。具材は大根おろし、薬味にネギ、ゴマ、生姜などが合う。温かいうどんですることもある。
  • きせつそば
【季節蕎麦】旬の材料を使い、その季節ならではの味と形を演出する種物。牡蠣そば(南蛮)、若竹そば、松茸そば、あられそばなどがある。鴨南蛮も本来は寒い冬のそば。
  • きそば
【生蕎麦】元禄末か享保の後半のころから現代にかけて、小麦粉を割粉として使うことが一般的となった。しかし、昔ながらのそば切りはそば粉だけで打たれ「生蕎麦」と呼ばれ、割の入ったそばと区別された。「生粉打ち」ともいう
  • きたわせ
【キタワセ】昭和の時代は、北海道のソバの品種としては昭和5年に北海道農業試験場が育成した「牡丹そば」しかなかった。生長時に丈の揃わない牡丹そばは、授粉しにくいため反収がのびず、また、やや晩生のため秋小麦の前作になりにくいという欠点があった。そこで、これらについて改良をほどこし、平成元年に「キタワセソバ」(ソバ農林1号)が品種登録された。キタワセは、平成20年には作付けの九割をしめるほどとなり、北海道の主力品種となった。
  • きつねうどん
【狐饂飩】大阪船場の松葉家が始めたメニューと言われる。いなり寿司用の油揚げをうどんに載せて出す。甘辛く煮た油揚げのコクが汁に溶け出して人気が出た。今ではうどんの代表的なメニューの1つ。
  • きつねそば
【狐蕎麦】甘く煮た油揚げとネギを具にした種物。東京では「きつね」は油揚げを甘く煮てのせたもので、「たぬき」と並んで最も大衆的な種物である。ねぎと油揚げの入ったそばは、関西では「しのだ」ともいう。
  • きのめきり
【木の芽切り】木の芽(サンショウの若葉)をすりつぶして糊状にし、さらしな粉に練り込んだ変わりそば
  • きばち
【木鉢】=こね鉢
  • きばちした
【木鉢下】本来は鉢を乗せる台をかねる丸桶のこと。このなかにそば粉と割粉をその店の割合で混合した粉を入れておいたので、その混合粉のことを木鉢下と呼ぶようになった。
  • きょうどそば
【郷土蕎麦】地方に伝わる、独特なそば切りのこと。その土地ならではの材料をつなぎにしたり、独特の道具や技法で打たれたものが多い。また、つなぎを使わずにそば粉だけで打つ「生粉打ち」そばも少なくない。
  • きらずだま
【切らず玉】そばを打つとき、加水が多すぎて極端にゆるくなった玉。あわてて粉をつけ足しても、こうしてできた生地は食べて美味しくないばかりか切れて短くなってしまう。 「切らずに捨ててしまった方がよい」との意から。
  • きり
【切り】畳んだ生地を切って麺にする、そば切りの最終工程である。 包丁の握り方は、柄を薬指、小指で握り、中指はマチクリという包丁の切れ込みの一番奥に添える。人差し指は、指の腹で包丁の身を押さえ、駒板の枕をガイドとして麺を切っている間刃を垂直に維持する役目をもつ。親指で柄を握りしめると手切りになってしまうので、親指はむしろ中空で遊んでいる状態がよい。 こま坂はしっかりと押さえることが大事で、力が弱いと駒板の枕が包丁のガイド役を果たせなくなり、いきおい包丁を持つ手だけで切る「手切り」となり、麺を切りそろえることができない。切り幅は、包丁をねかす角度によってこま板の送りを変えることによって調節する。麺の太さは、「切りべら何本」といって、一寸を何本に切るかで切り幅を決めている。江戸の並みそばの場合は、切りべら23本で、幅約1.3mm。1.5mmにのした厚みよりやや狭い幅となるので、麺の断面が長方形になる。
  • きりしたそば
【霧下蕎麦】新潟・長野県境の妙高、黒姫、戸隠、岐阜・長野県境の木曽など、山裾をめぐる標高500〜700mの高原地帯では、昼夜の気温差が大きく、丁度秋そばの結実期にあたる8月下旬から10月中旬の朝方に霧が発生しやすい自然条件である。こうしたいわゆる霧下地帯で栽培されるソバは、味覚、栄養、粒型ともにすぐれ、ソバの粉質は緑黄色鮮やかで、風味を持ち、粘りと香りに優れることから、特に「霧下ソバ」として評価されている。 日中は25〜26℃、夜間は10℃以下の温度差が望ましいと言われ、霧下特有の朝霧が厳しい自然条件をやわらげ、ソバが萎えることもなく成長を進めるうえで効果を持つ。
  • きりだめ
【切り溜め】=生舟(なまぶね)
  • きりは
【切り刃】 機械打ちの最終工程で、仕上がった麺帯を麺線に切り出す刃。太さは、番手で選ぶことができ、番手の数字はJISで30mmの幅を何本に切るかを示す。そばの切り刃は、20、22番を使うことが一般的。
  • きりばん
【切り板】=まな板
  • きりべら
【切りべら】「切って薄くした」という意味で、手打ちそばで、のした生地の厚さより包丁で切る幅を薄く仕上げることを言う。切りべらの反対、つまりのした厚みより広い幅で切る場合は、「のしべら」という。
  • きりべらにじゅうさんぼん
【切りべら二十三本】江戸時代から御定法とされていた並みそばの太さで、のした生地の一寸(3.03cm)幅を23本に切り幅を約1.3mmに仕上げること。のし厚1.5mmの生地を切ると、切り口がやや長方形となり切りべらの条件を満たす。→きりべら
  • きれい
【綺麗】=さくら
  • きん
【斤】そばの量を多くすること。「きんで願います」と使う。
  • きんぷら
【金麩羅】そば粉でころもを作って天麩羅にしたもの。また、榧の油で揚げたり、衣に卵黄を加えて揚げる天麩羅も金麩羅と呼ばれる。
【具】=種
  • くくり
【括り】捏ね鉢でそばを玉にするプロセスは、前半の「水回し」、中盤の「練り」、後段の「くくり」に分けられる。水回しは練りの準備として過不足のない水を粉全体に配ることで、粉は「おから」状となっていく。これを一気に短時間で練って粘性を出し、最後に表面のつや(つら)を出しながらキズを一か所に寄せ集め、一旦円錐形を作って頂点に集まったキズを手のひらでひねればくくりが完成し玉(でち玉)に仕上がる
  • くさきり
【草切り】=蓬切り
  • くちあけ
【口開け】切ったそばをほぐすこと。切り口をあける、という意味。15〜20cmほど切ったら、包丁を切ったそばの下に差し込み、包丁に乗せてめんをほぐす動作をし、さらに指でそばを動かして切り口を広げ、めん線がくっつかないようにさばく。
  • くちみりん
【口味醂】汁や調理の仕上げに、風味に奥行を与えるため味醂をあとから加えること。多くの場合煮きらず用いる。
  • グルテン
【gluten[独]】小麦粉に水を加えて練った生地(ドウ)にできる粘着性のガム状の物質。非水溶性たんぱく質のグルテニンとグリアジンが主体となって形成される。パンが膨らんだままの形を保ったり、うどんに独特の食感を与えるのは、このグルテンの働きによる。そばのつなぎに小麦粉を用いるのは、このグルテンの性質を利用して切れにくい麺にするため。
  • くるみだれ
【胡桃だれ】生胡桃を炒り、少量の上白糖を加えてよく擂り、粘りけが出たところをもりづゆでのばす。そばやうどんの汁として濃厚な風味が楽しめる。
  • くろむぎ
【クロムギ】万葉仮名で久呂牟岐、久呂無木などとあてる。上代のソバの異称。
  • けいらん
【鶏卵】卵とじうどんのこと。
  • けしきり
【芥子切り】ケシの実をよく煎ってさらしな粉に練り込んだ変わりそば。ケシの量は粉の重量の3%位が適当。薄くのして幅広に切ると(のしべら)切れにくく風味もよい。
  • けしょうみず
【化粧水】ゆで上げたそばは洗い桶で手早く水洗いする。洗い桶から引き上げるときにきれいな水を1、2杯かけるか、氷を張っておいた槽に一瞬さらしてそば洗いの仕上げとする。この水を化粧水という。化粧水がきれいで冷たいとそばがほどよくひき締り、腰がたつようになる。
  • げんそば
【玄蕎麦】脱穀しただけで、殻をつけたままのソバの実こと。 形は、ほぼ三角錐(すい)に近く、殻の色が黒い(玄とは黒の色のこと)ことからこの名で呼ばれる。製粉所では、玄ソバを「磨き」という工程を経て泥や石などの不純物を取り除き、殼を剥いてからロール挽きまたは石臼碾きとする。玄ソバを直接石臼で碾くと、非可食部であるそば殼の混入が避けられない。
  • けんちんそば
【巻繊蕎麦】茨城県の郷土蕎麦。菜種油でダイコン、ニンジン、ゴボウ、サトイモ、コンニャク、豆腐を炒め、醤油仕立てにすした「けんちん汁」にそばをつけて食べたり、かけそばにしたりする。味噌味もある。
  • けんどん
【慳貪・倹飩】江戸時代にそば・うどん・飯・酒などを、一杯ずつ盛り切りしたもの。それを持ち運ぶ箱が慳貪箱。いわばファーストフードの提供システムである。その態度が感じのよいものでなかったせいか、物を惜しみ・貪る。けちで強慾なという意味もこめられていたようだ。
  • こうはくそば
【紅白蕎麦】 赤は「海老切り」、白は「更科そば」。赤と白の二色の変わりそばを盛り合わせ、祝儀に用いられる。
  • こおりそば
【凍り蕎麦】生粉打ちしたそばを茹で、冷水にさらして小さな輪にまとめ、かごに並べ、真冬の野外で凍らせるフリーズドライ食品。長野県北安曇郡大町(大町市)、上水内群信濃町柏原が名産。熱湯をかけて数分おいてもどして食す。かっては高級料理で椀種にも用いられた。
  • ごこくだち
【五穀断ち】五穀とは、米・麦・粟・大豆・小豆(古事記)といわれるが、米・麦・粟・稗・豆(日本書紀)をさすこともある。五穀断ちとは、仏教の修行のため、これら五つの穀物を断って長い期間過ごすというもの。ソバは五穀に入れられていないため、修行中にソバの実を生食して過ごすことが許されていたと言われている。
  • ごしきそうめん
【五色そうめん】愛媛県松山市の郷土料理。白地のそうめん生地に卵(黄)、抹茶(緑)、梅肉(赤い)、そば粉(茶)を混ぜて、白色の素麺とあわせて5色にしたもの。
  • こしきそば
【甑蕎麦】=つしまそば
  • ごしきそば
【五色蕎麦】ひとつの蒸籠で白、赤、黒、緑、黄の五色の変わりそばを盛る。白は「更科そば」、赤は「海老切り」、緑は「茶そば」、黒は「ごま切り」、黄は「卵切り」が一般的。また、それにこだわらず、五種のそばを提供する品書き。
  • ごじる
【呉汁】ダイズを水に浸して柔らかくし、つぶしたものを呉という。 かって津軽そばは、ダイズ粉か、水でのばした呉汁をつなぎに使った。いま一般に「呉汁繋ぎ」という場合は、豆乳をつなぎにする。
  • ごぜんこ
【御膳粉】=さらしなこ
  • ごぜんそば
【御膳蕎麦・御前蕎麦】さらしなそば
  • ごとううどん
【五島饂飩】特産の椿油を用いた手延べうどん。氷見や稲庭に通じる製法で作られる。五島はうどんのルーツの重要拠点。中国からのうどん製法の伝播地、中継地として有力である。うどんはつるつるの食感とコシの強さが特長の乾麺。つゆは『あご』と呼ばれるトビウオの出汁が組み合わされる。地獄炊と呼ばれる玉子を溶いた汁で釜揚げ状態のうどんを食べるのが有名。手延べ製法で生産量が少なかったので幻のうどんとも言われた時期がある。
  • ごつごう
【御都合】種物の下ごしらえが出来た中台が、釜前(ゆで方)にそば(うどん)を振る(温める)ことを促す言葉。
  • ごないしょ
【御内所】内輪の注文に使う。そばの量を少々多くしてやりたかったら「御内所、もり一枚、きんで願います」と通す。
  • こねばち
【捏ね鉢】そば粉に水を加え、こねるときに使う鉢。一般的な業務用としては、外径66cm(二尺二寸)から60cm(二尺)が標準的。木製の場合、木地には栃(とち)がよく、ブナやカツラも使用される。 最近では、森林資源の保護や地球温暖化を抑制する目的で、ステンレス製の鏡面仕上げや鉄製の漆仕上げなどの金属製の捏ね鉢も利用されるようになってきた。 また、地方によって、陶器製のこね鉢を用いるところもあるが、多くはうどん用の転用である。 そば店用の鉢は、内部が朱、縁から外部を黒の漆で仕上げる「黒内朱(くろうちしゅ)」が伝統的な仕上げである。 「木鉢」ともいう。地方によって、名称が異なり、江戸では「きばち」、京では「ひきはち」、越後では「ふくばち」、土佐では「きぢばち」と呼ぶ他、「こね鉢」、「しとねばち」ともいい、ことに、漆器のものを「塗り鉢」ともいった。 また、蕎麦打ちの工程の中で一番重要な水回しをこね鉢で行うことから、水回しのことを「木鉢の仕事」と呼ぶことがある。
  • こばんおけ
【小判桶】=横櫃(よこびつ)
  • こぼりやひでんしょ
【小堀屋秘伝書】江戸後期に佐原にあった醤油屋が、火災をきっかけにそば屋に転進し、当時の製麺技術を集大成した書物。全部で57品目が所収されている。◎変わりめん24品/柚子切、茶麺切、香切、生姜切、紅切、豆(とう)切、大豆切、小豆切、麦切、米切、栗切、稗切、黍切、唐土(もろこし)切、鹿子饂飩、蘭麺、光林饂飩、豆腐切、正月七草、三月桜、五月菖蒲、九月菊、鯛麺切、魚麺切。《小麦粉だけの麺10品》温麺切、七月素麺、広麺切、はくたく[食+專、食+宅のウ冠を省いた旁]麺、紐革、冷し饂飩、煮抜き饂飩、干温[食+宅のウ冠を省いた旁]、素麺、冷麦。《小麦粉以外の麺5品》[草冠/なべぶた/公/衣の下部]籐仁切(こんとうにきり)、片栗麺、葛切、長柄(ながら)素麺、大唐切。《変わりそば8品》唐々切、蘭切、喰(薯[草冠/預])麺切、東切、白滝、白梅、白髪、更科。《記載のないもの10品》蕨切、菊切、青切、赤切、黄切、黒切、白切、土切、寿々切、笹切。これらに百合切、胡麻切、芥子麺が加われば、寛政(1789〜1801)ごろに提供された品書きはほぼ網羅される。
  • こまいた
【駒板・駒板】手打ちそばを切るガイドとなる道具。 四角い薄板で包丁を当てる一辺に堅木の定規(まくら)が取りつけられている。駒板をずらしていく間隔でめんの太さが決まる。材質は、キリ、スギ、カリン、ヒノキなどがあり、幅はたたみ方に応じて27cm〜33cm程度を使い分ける。 駒板を使わずに、手だけで切ることを「手ごま」という→まくら
  • ごまきり
【胡麻切り】黒ごまの粉末をさらしな粉に練り込んだ変わりそば。黒ごまを炒り、油を出さぬよう、すり鉢ですった後、ふるって粉末にする。そば粉1kgに対して80〜100gの粉末を混ぜ合わせて練り込む。ゴマは粒状のまま混ぜ合わせるので、そばになじみにくく、油が出るので扱いにくい。多少熱湯の量を増やし、柔らかめに打つのがポイント。五色そばの黒の変わりそばとして用いられる。
  • ごまじるそば
【胡麻汁蕎麦】すり鉢で胡麻をあたって少量の砂糖をまぜてペースト状にする、そこに分量のもり汁をあわせてさらにすり、提供するそば
  • ごもくそば
【五目蕎麦】五に限らず、何種類かの具がのせられたそば。1950年代に中華料理店が五目そばを品書きにのせはじめると、そば店の五目蕎麦は次第に消滅していった。
  • こんごうき
【混合機】=ミキサー
  • こんごうこ
【混合粉】二八、七三、六四、同割等、製粉所からの出荷段階で割粉をまぜこんでおいた商品。ミックス粉とも言う。
  • ざいらいしゅ
【在来種】ある地方に永年栽培され、その地方の風土に適応したソバなどの植物のこと。登録された品種ではないので、多くは土地の名前を先頭につけるなどして呼ばれる。栃木在来、福島在来等。
  • さくら
【桜】=きれい →斤(きん)の反対で少なく盛ること
  • さくらえびきり
【桜海老切り】干した桜海老の粉末をさらしな粉に練り込んだ変わりそば。
  • さくらきり
【桜切り】桜餅などに使われている桜の葉を蒸して塩漬けしたものを、0.5%の食塩水で一晩塩抜きしておく。硬い葉脈を取り除き、さらに微塵に刻むかミキサーにかけてさらしな粉に打ち込む。
  • さけつなぎ
【酒繋ぎ】酒を並粉に練り込んだそば。つなぎを用いずにそば粉だけで打つ(生粉打ち)。太打ちにすると角がしっかりと立つ。
  • さしみず
【差し水】ガス焜炉がなかった時代はそば釜の沸き加減を調整するすべがなかったので、吹きこぼれさせないように差し水をしていた。しかし、差し水は麺を茹でる際に生煮えにしやすいので絶対に避けたい。火の調節はガスのコック等で行うのが基本である。
  • さなご
【さな粉】製粉時に粉を篩うとき、最終的に網の上に残ってしまった粉。
  • さなだじる
【真田汁】→鬼汁
  • さぬきうどん
【讃岐饂飩】うどん王国讃岐。その言葉がぴったりと言えるほど県内にはうどん店が多い。その数およそ800店。温暖な気候。小麦の生産、瀬戸内海の塩田、いりこだし、名産の醤油などの条件が揃う。製麺所・セルフ・一般店と形態の異なるうどん店がある。
  • さぬきのゆめ2000
【さぬきの夢2000】小麦の品種名。香川産の小麦粉でうどんを作って本当の意味での讃岐うどんを作ろうという動きから2000年に香川県農業試験場が開発、品種登録した。年々栽培面積も増えて需要も高まりつつある。中力粉に分類されるが蛋白量が比較的少なく製麺にくふうが要る。麺は美しくクリーム色をおびほのかな甘みを感じさせる。茹で置きに弱い傾向がある。
  • さらしなこ
【さらしな粉】一番粉と同様の挽き方で製粉するが、特に真っ白ででんぷんの純度を高く仕上げた粉をさらしな粉と呼ぶ。白さを量る尺度には「白度」がある。
  • さらしなそば
【更科蕎麦】信州で布屋を商っていた初代 布屋太兵衛が寛政2年(1790)、麻布永坂に「信州更科蕎麦処 布屋太兵衛」という看板を掲げたのが始まり。 太兵衛は蕎麦打ちの名人で、布屋として出入りしていた保科家の殿様から勧められて蕎麦屋へ転向した。 信州の更級郡産の蕎麦粉を使っていたことから、更級郡の″更″に保科家から許された″科″の字を合わせて更科としたといわれる。白く上品な歯ざわりと喉越のよさは、庶民が啜る黒っぽい蕎麦をおおっぴらに食べにくかった武士や大店の主人に珍重されたという。
  • さらそば
【皿蕎麦】「皿そば」ともいわれる但馬(兵庫県)の小京都として栄えた出石藩の城下町である豊岡市出石町の名物そば。出石焼きの平皿にそばを盛り、つゆをかけて食べる。→いずしそば
  • ざる
【笊】そば釜の仕事をしたり、そばを盛って提供したりと、ざるはそばとゆかりが深い。釜の脇役のほうは、釜からそばをすくい上げる「揚げざる」、洗ったそばの余分な水を切る「ためざる」、温かい種物のそばを予熱する「振りざる」がある。
  • ざるうどん
【笊饂飩】もりうどんと同じ。盛る食器に笊を用いる。茹でたうどんを冷水で締めて笊にもり、もりつゆで食べる。
  • ざるそば
【笊蕎麦】盛りつける容器としてそばをざるに盛ったのは、深川にあった伊勢屋(伊兵衛)がはじめと言われ、「州崎のざるそば」として人気を集めた。それにちなみ、何か付加価値のついたそばを「ざる」、シンプルなそばを「もり」と呼び分ける店も多い。
  • さんしょくそば
【三色蕎麦】白、赤、黒、緑、黄の五色そばから二色を抜いたもの。さらしなそば(白)、海老切り(赤)、茶そば(緑)などを組み合わせる。三月三日の雛の節句に食べる風習がある。
  • さんたて
【三立て】→よんたて
  • さんばんこ
【三番粉】→二番粉
  • じごくそば
【地獄蕎麦】=かまあげそば
  • じごな
【地粉】元々は各地方で採れる小麦(または蕎麦など)を製粉して小麦粉にしたものを言うが現在は国内産小麦粉を指すことが多い。国産小麦を内麦、輸入小麦を外麦と言う。国内消費のうどん用の小麦粉は90パーセントがオーストラリア産の小麦(ASW)を中心にした製粉されたものを使う。このASWに対する言葉として地粉が使われる。地粉は現在総使用量の約10パーセントを担っている。うどん用以外にもパンや中華麺などに使われる強力粉でも外麦に対する言葉として内麦イコール地粉と表現される。
  • しそきり
【紫蘇切り】初夏の変わりそば。青じそをさらしな粉に練り込むと爽やかな緑のそばになる。粉1kgに対してシソの葉五十枚ほどが適量。アクが強いので、十分にアク抜きしてから練り込む。
  • しちみとうがらし
【七味唐辛子】「七味」「七色唐辛子」ともいう。 唐辛子、陳皮(ちんぴ=みかんの皮)、山椒の実、しその実、ごま、けしの実、麻の実の七味。青のり、菜種が入る場合もある。 唐辛子のカプサイシンは、血行をよくし、体を温め、食欲を増し、ビタミンEとカルシウムの吸収をよくする。赤い色はカロチンで、ビタミンAを含む。浅草、京都、長野の老舗が有名。
  • しっぽくそば
【卓袱蕎麦】長崎料理の大皿に盛られた饂飩の上に具をのせる料理をまねたそば。幕末の頃は、玉子焼き、かまぼこ、シイタケ、クワイなどが一般的になった。関西ではこれがうどん台になる。
  • しっぽくうどん
【卓袱饂飩】→しっぽくそば
  • しなのいちごう
【信濃一号】ソバ品種。 夏型と秋型の中間型で、粒は濃褐色。播種期の幅が最も広い品種の一つで、関東北部から中国地方にかけて広範に栽培され、品質も高く評価されている。昭和19年(1944)に長野県農業試験所桔梗ヶ原分場(現・長野県中信農業試験所)が、福島在来系統から選抜固定した。
  • しなのむし
【信濃蒸し】=しんしゅうむし
  • しぼりじる
【絞り汁】昔から、そばの産地では大根の絞り汁とそれに味噌を加えたものなどがそばによく合うとして賞味されてきた。
  • しゅくこんそば
【宿根蕎麦】別名「シヤクチリ(赤地利)ソバ」と称し、ソバの野生種。多年生で、地下に黄赤色の肥大した根茎をもつ。冬は地上部の茎葉は枯れてしまうが、春になると地下の根茎から新しい芽が出て四方に広がっていく。古くから漢方薬として利用されている。種実は脱粒性をもっており、熟する前にぱらぱらと落ちてしまう。若葉は食用になるため「野菜ソバ」とも呼ばれる。
  • しゅんかんせいめんき
【瞬間製麺機】機械に粉と水をセットしておけば、ボタンを押すことにより釜の上のミキサーが作動し、生地を練り上げたあと下部の穴から麺が押し出され、そのままゆでて提供することができる
  • じょうがえし
【上返し】=御膳返し
  • しょうがきり
【生姜切り】ショウガの絞り汁をそば粉に練り込んだ変わりそば。そば粉1kgに100g程度の生姜を摺りおろして加えると、ショウガの香りがするそばとなる。
  • じょうしょうじもんじょ
【定勝寺文書】現在のところ、そば切りに関する最も古い記述が残るとされている文書。長野県木曽郡大桑村の定勝寺の寺の造営や修理に関する記録だが、そのうち天正2年(1574)の仏殿の工事の際の記録に「振舞ソハキリ(蕎麦切り)」などの記載があるため、戦国時代にそばが打たれていたことを推定する最古の資料となっている。
  • しょうじんじる
【精進汁】動物性のかつお節などを使わない汁。
  • しょよつなぎ
【藷蕷繋ぎ】→やまいも繋ぎ
  • しるかん
【汁看】汁がなくなったので看板にする(本日の営業をやめる)こと。
  • しるたんぽ
【汁タンポ】→たんぽ
  • しるとっくり
【汁徳利】つけ汁を提供するための容器。陶磁器製がが一般的。猪口に入れる辛汁の量を加減したり、あとでそば湯を飲むときにつかう汁をとっておけるなど、粋な食べ方ができる。
  • しんしゅうおおそば
【信州大ソバ】信州大学農学部が「信濃一号」から育成したソバの四倍体品種、粒は大粒で黒褐色。播種期は中間型よりやや秋型で、栽培適地は本州中部を中心とした準高冷地。昭和60年(1985)に品種登録。
  • しんしゅうそば
【信州蕎麦】信州では田畑が少なく、かつては山間の傾斜地を切り開いてソバを栽培してきた。 ソバの栽培は高冷地の地味と気候に適しているので、信州では各地で良質のソバが穫れ、信州の風土を代表する食べ物になり、ソバの名産地として広く知られるようになった。 また、そば切りだけでなく、「そばがき」、お焼きなどそば粉を使った郷土食も多彩でである。 最近は、信州各地で改めてそば文化が見直され、地域おこしや観光の核として活用されている。 「開田そば(かいだそば)」、「柏原そば(かしわばらそば)」「唐沢そば(からさわそば)」「川上そば(かわかみそば)」「戸隠そば(とがくしそば)」「富倉そば(とみくらそば)」などがある。
  • しんしゅうむし
【信州蒸し】タイ、ヒラメなどの淡白魚とソバを蒸し物として出す料理。信州がソバの産地であることから。「信濃蒸し」「そば蒸し」ともいう。
  • しんそば
【新蕎麦】収穫されたばかりの新物のソバのこと。北海道および北東北では、春に播いたソバが夏に収穫できる。それより南では、夏に播いたソバが霜が降りる前に収穫できる。この内、秋に穫れるソバを「秋新(あきしん)」と呼んで珍重される。
  • じんだいじそば
【深大寺蕎麦】深大寺とその周辺から産したソバの総称、また深大寺の門前そば店のこと。文久年間(1861〜64)に農業のかたわら始めた「嶋田屋」が元祖といわれている。元禄元年(1688〜1704)深大寺の住職が天台宗輪王寺門跡第三世公辨法親王に、手打ちのそば切りを献上したところ、公辨はその風味をめでて、御一門や諸大名に吹聴され、にわかに名高くなった。「門前そば」が軒を並べるようになったのは昭和40年代以降。
  • すいのう
【水嚢】(1)麺類をすくう手付きのざる (2)粉篩い 地方により二種類の意味がある
  • すうどん
【素饂飩】具の無いかけうどん。茹でたうどんを温めて汁をかけたもの。薬味はネギや生姜が入る。
  • すえこ
【末粉】=さなご
  • すなばそば
【砂場蕎麦】 豊臣秀吉の大坂城築城と前後して、資材置き場となっていた地域に「和泉屋(いずみや)」「津国屋(つのくにや)」という二軒の麺類屋があった。皆が砂場(資材置き場)にある麺屋だから、屋号ではなく「砂場」と呼ぶようになった。これらの店が蕎麦切りを売る店の始祖ではないかと考えられている。その後砂場は、江戸に進出し現在の隆盛に至る。
  • すりぼうちょう
【擦り包丁】そばを切るときの基本となる包丁の送り方で、駒板の枕にそわせて包丁を前に送り、刃全体がまな板に着地したとき刃先を支点として包丁を倒し、駒板を進めて次の麺線の幅を出す。
  • ずるだま
【ずる玉】加水が多く、ゆるい手打ちそば。練る仕事に力がいらず楽だが、タンパク質を溶かしてしまっているので繋がる力が弱く、仕上りも水っぽい。べたつくので打ち粉まみれにしてのしたり、切ったあげくに麺どうしがくっついたりと、なにかと厄介なことが起きる。昔の職人は切るのに値しないため、「切らず玉」とも呼んだ。
  • せいめんき
【製麺機】製麺機は、明治16年にはすでに発明されており、その後の開発競争でさまざまな改良をうけながら、現在の普及に至っている。
  • せいろ
【蒸籠】もりそばの別称。または、もりそばを盛る容器のひとつ。 延宝から元禄(1673〜1704)の頃、そば切りを湯通しせずにせいろにのせて蒸す「蒸しそば切り」がはやった。それ以来、 茹でたそばも「せいろ」に盛りつけられるようになった。 また、天保年間(1830〜1844)、蕎麦屋が幕府に値上げを願い出たとき、値上げは認めず「せいろ」を上げ底にすることが許され、現在の上げ底になった。
  • せいろううどん
【蒸篭饂飩】もりうどんの盛り付ける器に蒸篭を用いたもの。もりうどん。ざるうどんは同義。
  • せきまえ
【セキマエ】通し言葉で、急ぎのこと。
  • せっくそば
【節句蕎麦】=ひなそば
  • せめこ
【責粉】=二番粉
  • せりきり
【芹切り】芹を裏ごししてさらしな粉に打ち込んだ変わりそば。
  • せんこ
【仙粉】兵粮丸を作るときに用いられるソバの異称
  • せんにちかいほうぎょう
【千日回峰行】比叡山で行われる天台宗の荒行である。合計千日をかけて全長40,000kmを巡拝し、さらに穀物を百日間摂らない五穀断ちののち、「断食・断水・不眠・不臥の行」に入る。五穀断ちではそば粉とわずかな野菜のみが許されており、そばの栄養価の高さをものがたっている。
  • そうめん
【素麺】手延べ素麺と機械製麺による二種類がある。手延べは文字通り小麦粉に塩水を加えて練り手延べでして二本の棒に綾がけして伸ばして行く。機械製麺では切り刃を細くして素麺の規格の太さの麺線を切り出す。切刃の細さの規格により、素麺、冷麦、うどんと差別される。兵庫の播州素麺、奈良の三輪素麺、香川の小豆島素麺、徳島の半田素麺などが有名である。
  • そとに
【外二】そば粉10割に対して割粉を2割加えた混合比率のそば(二八よりそば粉の割合が多い)。
  • そとばん
【外番】出前を運ぶ人のこと。
  • そば
【蕎麦】ソバはタデ科ソパ属の一年生草本で、次の三種に大別される。 栽培種 (1) 普通ソバ (2) 韃靼(ダッタン)ソバ 野生種 (3) 宿根(しゅっこん)ソバ 普通種と韃靼(ダッタン)種とに大別され、普通単にソバという場合は普通種を指す。学名の(Fagopyrum esculentum)は、食用のブナの実に似た穀物という意味。ソバの原産地は揚子江、メコン河、怒(ヌー)川が並走するチベット自治区の三江(サンジャ)地区であることが、大西近江(京都大学)の研究と踏査によって明かになっている。日本への伝来は、天正天皇の養老6年(722)に救荒作物としてソバの植えつけを勧められたことが『続日本紀』に記されていることから、それ以前に中国から朝鮮、対馬を経て導入されたと推測される。少なくとも日本におけるソバの栽培は約3000年前の縄文晩期に始まったとみられる。蕎麦という漢字の初見は明らかでないが、延喜18年(918)の『本草和名』に「曽波牟岐(ソバムギ)」、延長8年(930)の『倭名類聚鈔』に「久呂無木(クロムギ)」という万葉仮名がみられる。
  • そばあれるぎー
【そばアレルギー】そばには、人によっては強いアレルギー症状を起こすアレルゲンが含まれている。そばは、食品衛生法により特定原材料7品目(卵・乳・小麦・えび・かに・そば・落花生)の一つとして表示が義務付けられ、そばを原因とするアレルギーは、症状が誘発された際に重篤化することが多い。空気中に舞ったそば粉、そばのゆで汁の湯気、そば殻枕のホコリにも反応する。麺類飲食店では、「そば」と他の麺類を同じ場所で製麺、調理し、同じ釜で茹でている店も多いので十分な注意が必要。コショウの増量剤としてそば粉が使用されているケースなどもある。
  • そばいなりずし
【蕎麦稲荷寿司】そばずしの一つ。油揚げを甘汁で炊き、ゆでたそばを鮨酢にひたしたのちに汁を切り、それを調味した油揚げに詰める。
  • そばうち
【蕎麦打ち】機械を使わずにそばを作ること。昔から「一鉢二伸し三包丁」、「包丁三日、伸し三月、鉢三年」いわれるように、鉢での「水まわし」および「くくり」の工程でが最も大切とされる。なぜ「そばを打つ」というかは定かではないが、生地をのすとき、めん棒がそばやのし板に当たる音から「打つ」という表現が生まれたという説がある。また昔産地では、刈り取ったソバを天日に乾燥させてかれ棒で叩いて脱穀した。この棒を「そば打ち棒」とか「ぶち棒」などと呼んだこととも関係するかもしれない。
  • そばがき
【蕎麦掻き】そば粉を湯で練り上げる。そば粉に対し沸騰した湯を入れて練り上げるのが椀がき、水で溶いたそば粉を鍋に入れ、加熱しながら練り上げるのを鍋がきという。年々加水の割合が多くなり、ゆるめのそばがきの人気が高くなってきた。また、 そばがきは、原始的なそば粉食の形態であり、水かお湯さえあればこと足りるだけに、そばの産地では常食されてきた。また、五穀を断つ比叡山・高野山の回峰行(かいほうぎょう)や木食行(もくじきぎょう)では唯一の食糧でもある。→五穀断ち
  • そばがし
【蕎麦菓子】そば粉を使った菓子。 そば粉は小麦粉のようにグルテンを含まないので、単独ではパンやスポンジケーキのようなソフトな食感は得られない。そのため「そば串焼団子」、黄な粉をまぶした「そばあべかわ」や「そばあんかけ」といったそばがきをアレンジした素朴な食べ方が多かった。その後次第に工夫を凝らしたものが考案され、小麦粉やヤマイモのすりおろしを混ぜ合わせて焼いたり、蒸すなどしてそば特有の風味を出した「そば饅頭」「そばカステラ」「そばボーロ」などが作られるようになった。
  • そばがま
【蕎麦釜】そばをゆでるための大釜。釜の材質は、昔は鉄の鋳物だったが、現在は熱伝導率が高く熱効率がよいアルミ製が多い。アルツハイマー因子のリスクを避けるステンレス製の釜も登場した。 釜は深いほど対流が強くなりそばがうまく茹でられる。また容積も大きいほど茹で方に余裕が生じる。45L級の場合一度に茹でられるのは3人前程度、80L級の場合は10人前程度まで茹でられ、繁忙時の処理に大きな差がつく。
  • そばかまど
【蕎麦竈】そばをゆでるための燃焼装置。熱源は、ガスまたは石油が一般的である。中央にそば釜をセットし、手前左右に「前鋼壷(どうこ)」 の、後ろ左右に「後鋼壷」の丸い口が開けられているのが基本形だったが、現在は前鋼壷だけに口が開けるのが普通。
  • そばがゆ
【蕎麦粥】ソバを粥仕立てにしたもの。各種の具をとり混ぜて味噌などと煮込む「そば雑炊」としたり、小鳥のミンチや干しアユなどの出汁で提供する地方もある。ソ連の「カーシャ料理」は、そば米にミルクや植物油などを入れてスープ仕立てした雑炊の一種。
  • そばがら
【蕎麦殼】ソバの実の果皮である非可食部の茶褐色の殻。かつては枕の材料として注目され、昭和40年(1965)代にはソバ殻が足りなくなり輸入もされたという。
  • そばきり
【蕎麦切り】初めは、そば粉に熱湯をかけてこねあげ、「そばがき」として食べていたが、後にそれにつなぎの小麦粉を加えて水で練り、細く切って麺として食するようになり、そば切りと称した。江戸時代では「切りべら23本」と言われ、並みそばの場合一寸(約3cm)の生地を23分の一の幅(約1.3mm)に切った。なお、切りべらとは厚みよりも細く切る状態のことを指すので、江戸の並みそばの断面は、1.5mm×1.3mmであったことになる。この太さは水切れにもすぐれ、手繰りやすく、食味食感にも優れた理想のサイズである。
  • そばきりのはっしょうち
【蕎麦切り発祥地】諸説あるが、いずれも古文書にそばという言葉が出てくるということに過ぎない。甲州天目山説と、木曽の本山宿説がある。
  • そばきりぼうちょう
【蕎麦切り包丁】「そば包丁」ともいう。中指を差し込む「まちくり」が刃の中心近くまであって、長い刃の真ん中あたりをバランスよく持上げるようになっているデザインが現代の主流。横幅1mm未満の微妙なコントロールが求められるため、片刃でなければならない。そば切り包丁は、近年軽量化が進み、高さ11cm、長さ33cm、重さ800gが標準的となった。 1.5kgの粉は、長さ四尺の巻棒で幅出しを巻き取り、八枚畳みにすると麺帯の幅が一尺近くとなる。このため330mm(尺一寸)の包丁が必要である。また2.0kgの粉は、長さ四尺五寸の巻棒で仕事すると畳んだ麺帯の幅が尺一寸位になるため、この場合は尺二寸の包丁が必要となる。 選び方はバランス重視とし、持ち心地が軽いものが大抵すぐれている。 本職用の鋼材としては、青二または青一の切れ味が優れており、硬度があるため研ぎに出す頻度も少なくてすむ。このほか、錆びにくいため饂飩にも使えるモリブデン鋼のそば切り包丁もある。 この長さの包丁の刃線を正確な直線に研ぐことは相当難しいので、必ず研ぎは専門家に任せたい。 また、産地の道具は、そば打ちが女性の仕事であったので、小型で軽いものが多い。 福島県南会津地方の裁ちそば、群馬県利根地方の引きそばなどは菜切り包丁である。 その他、東北地方にナギナタ型のものや、福島地区には長方形の上部中央に穴をあけて握り手となっているものもある。 中には、まき割り包丁という、大玉の荒打ち向きの重くて大型のものもあり、実に千多彩である。
  • そばごめ
【蕎麦米】むきそばともいう。「玄そば」を水から煮て、殻の口が開く頃1%の塩を入れ、炊きあがったら干して、形を崩さないように脱穀する。アワ、ヒエと混食したり、イリコのだし汁に油揚げ、豆腐、サトイモ、刻みネギと、そば米を入れて吸い物にする。 信州、徳島県の吉野川南岸の山間地帯、山形県麻那山の山麓、酒田市などの名物となっている。
  • そばじょうちゅう
【蕎麦焼酎】ソバを蒸して白米の麹と合わせるか、ソバ麹にソバまたは白米を合わせて発酵させて作る。原料のソバはそば米が量産に適している。 ソバは70%の糖質を含んでいるので、原料1トン当たり410〜420Lの純アルコールが得られるが、通常製品はアルコール分25度に調整して出荷される。水割り、お湯割り、そば湯割り、オンザロックスなどで飲まれる。
  • そばしるこ
【蕎麦汁粉】白玉の替わりに「そばがき」をを入れた汁粉。あずき餡をかけたり、そばがきの代わりにそば切りを使う場合もある。そばぜんざいもある。
  • そばずし
【蕎麦鮨】干瓢、シイタケ、卵焼き、三ツ葉などを芯に入れた海苔巻き、伊達巻きなどの巻きものや、稲荷、茶巾、ちらし、押しずしなど、甘く仕立てた鮨酢でそばを型に作っておき、それを寿司風に仕上げた料理。いつごろから始められたかは定かではないが、幕末ごろ江戸で売られていたことが、稲荷掘(とうかぼり)(日本橋小網町三丁目の東、現在の蠣殻町のあたり)にあったすし店「松露寿し」(しょうろ)の開店案内でわかる。
  • そばせいふん
【蕎麦製粉】そば粉の製粉工程は概ね次の通りである。 (1)精選:原材料(玄ソバ)には、ソバの葉や茎、小石、土砂、他の植物の種子などの夾雑物が大量に混入しているので、 これら夾雑物をゴミ取機、石取機などによって除去し、玄ソバをの表面を研摩機でぴかぴかに磨き上げる。 (2)脱皮:精選された玄ソバは、果皮(殻) に包まれているので、皮むき機などによって果皮を取り除く。そばの製粉所では、ゴム板にぶつけて殻を取る方法(衝撃式)が一般的。この方法で殻を取り除いた玄ソバは「丸抜き」と呼ばれる。この他、石臼の臼をうかせて大割れを作り殻を取る方法も可能だが、この方法は、非可食部である果皮(そばがら)の微細片が製品の中に混入してしまう可能性が高い。 (3)製粉:脱皮工程をへた「抜き」や「大割れ」を、ロール製粉機や石臼によって粉にする。 ロール製粉磯の場合、一番ロールを通り、ふるい (シフター)を通って得られた粉が一番粉で、抜きの中心部の白い粉である。 一番ロールで粉にならなかった部分が、次のロールにかけられ、ふるいで選別されて二番粉となり、残った部分がさらに次のロールにかけられるといったように、部位・仕様別にそば粉を取り分ける連続製粉方式が採用されている。 (4)精製(仕上げ):複数の貯蔵タンクに取り分けられた仕様が異なるそば粉を、使用目的にあわせた組み合わせおよび比率で混合し、仕上げシフター(ふるい)で夾雑物を取り除き、ニーダー(攪拌機)でよく攪拌して製品化し、袋詰めにする。
  • そばぞうすい
【蕎麦雑炊】→そばがゆ
  • そばだし
【蕎麦出汁】そばつゆは、返しの材料である濃口醤油にグルタミン酸が豊富に含まれているので、出しは節類のイノシン酸だけあれば味覚の相乗効果が発生し味のよい汁となる。そば店ではかび付けの本枯節を使ってすっきりとした出しをとるところが多い。店によって、丸の鰹節を自店で薄く削って短時間でとるところ、厚削りを仕入れて長時間煮出すところ、粉砕チップを使うところなどさまざまである。また、節も本枯節のほか、鯖節、宗田節などの雑節を用いるところもある。
  • そばちゃ
【蕎麦茶】ソバの芳ばしい香りとまろやかな風味で、ソバの栄養素を飲用する健康飲料である。製法は玄ソバを蒸したのちに黒い殻を取り除いたソバの実(そば米)を焙煎するもので、焙煎後の体積がもとの粒子の2倍以下になるように水分、温度、焙煎時間を調整すると好ましい風味となる。 成分はソバ100%であり、たんぱく質、ビタビン類、ルチンなどが多く、タンニンやカフェインのような刺激性成分はほとんど含まれていないので睡眠を妨げることもない。同様の製品にダッタンそば茶があり、こちらはさらに多くのルチンを含む。
  • そばちょく
【蕎麦猪口】「猪口」はチョクと読むのが正しく、そもそも祝儀や会席の膳の向付(むこうづけ)として、このわたや酒盗、和え物、酢の物などを盛って出す器である。「猪口(ちょく)」という文字が文献に出てくるのは、江戸時代の寛文年間(1661〜1673)のこと。これが、寸法の手頃さなどから蕎麦屋がそば汁の器として利用しだし、「そば猪口」と呼ばれるようになったのは、明治時代以降とされている。
  • そばつう
【蕎麦通】村瀬忠太郎著。昭和5年(1930)、四六書院「通叢書」の一冊として発行。四六判洋装、本文215頁。 村瀬は東京滝野川の日月庵・やぶ忠という手打ちそば屋の主人で、安政6年(1859)生まれ。本書は名人やぶ忠を掘り出した文筆家高岸拓川(たかぎしたくせん)が、村瀬の口述をもとに『蕎麦志』や『蕎麦考』から引用をまじえつつ、そばと汁の製法、郷土そばや食習、栄養価に至るまで該博な知識と史料を駆使してまとめている。
  • そばつゆ
【蕎麦汁】味醂、濃口醤油、砂糖をあわせた返しをあらかじめ仕込んでおき、節ベースの出汁で決められた割合で割って仕上げたものがそば汁である。もりそば用のもり汁、種物用のかけ汁があり、それらをあわせると冷やがけ等用の同割汁となる。
  • そばどうぐ
【蕎麦道具】そばを作り、食べるために必要な道具の総称。 長い歴史の中で合理性・機能性が追求され、実用本位ながら洗練された美しさを持つものが少なくない。また道具は今日でも改良が重ねられている。◎そばを作る道具としては、鉢・めん棒・包丁・俎板・駒板・生舟・篩・厚みゲージなどがある◎そばを茹でるための道具は、そば釜およびかまど、揚げざる・ためざる・振り笊・片手桶・横びつなど◎汁を作る道具としては、返しがめ・たんぽ・寸胴鍋など◎食べる道具としては、蒸籠・竹ス・丼・そば徳利・猪口・薬味皿・湯桶など
  • そばとくり
【蕎麦徳利】=しるとくり
  • そばどうふ
【蕎麦豆腐】そば粉に葛粉を加えたものをだまにならないように水で溶き、鍋の中で加熱しながら固く練り上げる。これを型に入れ自然に冷やす。切り分けて、もり汁あるいは醤油などをかけて食す
  • そばのさんち
【蕎麦の産地】 北海道の北部と沖縄を除き、ソバはどこでも栽培できる。主な産地としては、圧倒的な面積を誇る北海道が群を抜いていて、あとは以下の県が名を連ねる。青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、長野県、新潟県、福井県、高知県、宮崎県、鹿児島県。茨城には常陸秋ソバ、長野には信濃一号、福井には福井在来、山形には出羽かおり、青森には階上早生など、それぞれの人気品種をもつ。おおむね青森以北が夏ソバを栽培し、それ以南では秋ソバとなる。沖縄でも大宜味村にて2016年から「さちいずみ」の栽培がはじまり手打ちそばが提供されている。
  • そばのていぎ
【蕎麦の定義】 製麺業界におけるそばの定義は、生めん、乾めん、即席めんによって違いがある。
「生めん」の場合、そば粉が30%以上の製品を「そば」と表示することができる。そば粉が50%以上の製品は原材料名に「そば粉、小麦粉」の順に表示できる。(不当景品類及び不当表示防止法に基づく「生めん」の表示に関する公正競争規約」に定められている。)
「乾めん」の場合、そば粉の割合が30%以上の製品は、そば粉の割合を表示しなくて良い。そば粉の割合が30%未満の製品は、そば粉の割合を表示しなくてはならない。そば粉が50%以上の製品は、原材料名に「そば粉・小麦粉」の順に表示できる。JAS規格では、そば粉50%以上の乾めんは上級品、そば粉40%以上の乾めんは標準品としている。しかしこれは任意の格付けのため取得している製品は多くない。
※日本農林規格(JAS)法に基づく、「乾めん類の品質表示基準」に、そば粉の配合割合による名称の使用可否については規定がなかった。2012年(平成24年)に「乾めんの表示」に関してJAS法が改定され、上記のような表示方法になりました。
「即席めん」の場合、そば粉が30%以上の製品→「そば」と表示することができる。(即席めんの品質表示基準、即席めんの公正競争規約による)
  • そばのひんしゅ
【蕎麦の品種】ソバは他家授粉なので、もっぱら蜂や蠅などが花粉を運ぶ「虫媒(ちゅうばい)」にて交配する。そのためほかの品種と交雑しやすく品種の管理には厳密さが求められる。2019年1月現在登録されている品種は55種あるが、キタワセソバ、階上早生(ハシカミワセ)、信濃一号、常陸秋ソバ(ヒタチアキソバ)の四種で全国生産量の半分を占めている。登録品種に至らない地方独自のソバは、福井在来のようなかたちで地名を付した名称で呼ばれる。
  • そばのみかえり
【蕎麦の三返り】釜の中に入れられたそばが、対流にのって一旦沈んで浮き上がり、湯の表面をゆっくりと流れてふたたび沈むという動作を3回繰り返せばもう茹であがっていると言う意味の、そばの煮上がりの早さを表した格言。そばは芯までアルファ化させる必要があるので、正しい茹で時間はそんなに短いものではない。
  • そばはしちじゅうごにち
【蕎麦は七十五日】そばは種を播いてから75日で収穫できるということをさす言葉。早生種のなかには、もっと早く収穫できるものもある。
  • そばはちみつ
【蕎麦蜂蜜】ソバの畑に放ったミツバチからとった蜂蜜。かりんやアカシアなどの蜂蜜とくらべてクセ味や雑味が多い。
  • そばはっすん
【蕎麦は八寸】→うどんいっしゃく そばはっすん
  • そばぶるまい
【蕎麦振る舞い】そばどころの風習で、新そばのころ縁者に酒とそばをたくさん振る舞うこと。このときまず最初に供される酒を「そば前」という。
  • そばまえ
【蕎麦前】そば会を開くに当たって、まずそばを食べる前に飲む酒をいう。転じて、そばを食べる前に飲む酒をそば前と呼ぶようになった。
  • そばみそ
【蕎麦味噌】そば味噌にはいくつかのタイプがある。「藪そば御三家」のものは、甘口の江戸味噌と砂糖を練り上げたところへ、煎った抜きソバ(挽き割り)や白ゴマを混ぜ、さらにみりんや唐辛子粉を加えて練り合わせて作られる。また、京都の西京味噌をベースに、揚げたそば米などをアレンジした酒肴に適したそば味噌もある。さらに、米麹の代わりにそば米で作ったソバ麹を使用して大豆とともに発酵させた普通味噌タイプもある。ソバ麹は白米麹に比べて菌糸のはぜ込みもよく、プロテアーゼ活性が強いのでたんばく質の分解がよく、仕上りにアミノ酸が多くなり濃厚な旨みが得られる。味噌汁にすると三角のソバの実がそのまま残って面白い。
  • そばむぎ
【蕎麦麦】ソバのこと→そば
  • そばもやし
【蕎麦もやし】ソバの実を播いて発芽させ、貝割れ菜くらいになったもの。「そばなえ」「そばめ」ともいう。ソバモヤシはルチンを多量に含んでおり、比較的安価なため、つまもの・おひたし・和えもの・吸いものなどに利用しやすい。
  • そばやのさけ
【蕎麦屋の酒】→そば前
  • そばやのしゅこう
【蕎麦屋の酒肴】昔から蕎麦屋には酒好きが集まった。蕎麦屋では特別に酒のアテを用意することをせずに、種物の上置きなどを使って酒肴とした。いまでも粋なつまみにこだわり、よい酒を揃えるそば店は人気を集めている。
  • そばゆ
【蕎麦湯】そばを茹でた後の釜の湯。元禄以前からそばを食したあとで飲む風習が広まっていた。そば湯には、ビタミンB群や、脳出血などの予防に効果があるというルチンなどの水溶性の栄養素が溶け出しているため、茹でたそばの中には溶け出した栄養素が豊富に含まれている。昔の人は暮らしの知恵でそのことを知っていた。湯は沢山飲むべきとされる。
  • そばゆわり
【蕎麦湯割り】焼酎をそば湯で割って楽しむのは、そば屋ならではの粋な飲み方。
  • そらにえ
【空煮え】包丁で切ったばかりのそばを茹でると、そばの表面だけに火が通って芯が生煮えとなっていること。この芯の固さは本来のそばの食感ではない。茹で時間が足りないそばにも同様の現象が起こる。
  • そろえぞうめん
【揃え素麺】素麺の束の端を縛ったまま茹で、束ねた姿を崩さぬように丁寧に盛る技法。盛りつけのとき、縛ったてあった部分は切り落とす。
  • だい
【台】→だいがわり
  • だいがわり
【台替わり】種物の麺の種類のこと。あんかけ、かき玉などは本来うどんで作るが、そばで作るように注文された場合「台替わりでかき玉一杯」と通す。
  • たいきり
【鯛切り】タイの身を包丁でよく叩いてから、みりんと酒を煮きったものと好みで鶏卵の黄身を加え糊状にする。ミキサーでよくすりつぶし。裏ごしにかけたものをさらしな粉ベースのそば生地に練り込む。幅広に切って椀種にもできる。
  • だいこんそば
【大根蕎麦】ダイコンをせん切り、または細かく刻み、ゆでたものをそば切りと和えたもの。一種の増量策。
  • たいぞうめん
【鯛素麺】→たいめん
  • たいめん
【鯛麺】(1)タイの身で作った魚素麺のこと(2)煮たタイをゆでた素麺の中で泳ぐように盛りつける。愛媛のたいめんは、祝儀に欠かせない料理である。
  • たかとお
【高遠】→たかとおそば
  • たかとおそば
【高遠蕎麦】長野県高遠地方の特産である辛味大根をおろした絞り汁に、醤油か焼き味噌で味をつけた汁で食べるそば。
  • だき
【抱き】エビの天ぷらの二本揚げのこと。抱き合った形で揚がるから。三本の場合は、「三本つまみ」という。
  • だし
【出汁】かつお節、煮干類や昆布、シイタケなどを、それぞれ適切な湯温とタイミングで煮出したもの。料理の食味の土台を作る役目を持つ。 節類と煮干しは、だし専用の材料として魚を加工した日本独特の素材である。昆布やシイタケも、一旦乾燥してその旨味成分だけを抽出する。そばの出汁は鰹節をはじめとする節類が主体である。節類のイノシン酸と、濃口醤油のグルタミン酸の相乗効果でそば汁の旨味が決まる。うどんは、薄口醤油ではグルタミン酸の旨味が不足するのでの昆布を用い、節類や煮干のイノシン酸と旨味の相乗効果を期待する。関東では味つけしない状態のものを「だし」というが、関西では醤油、塩などで調味ずみのもの、すなわち関東でいうかけ汁・種汁と同義に用いられる。関西で調味していないだしを指すときは「白だし」という。だしをとることを「引く」というが、これは抽出するの意。
  • だししょうゆ
【出汁醤油】生醤油うどんに使う醤油で本醸造醤油ベースに鰹だしや昆布だしなどが加えられた加工醤油。アミノ酸醤油系のものもある。かけうどんの返しかわりにも使うことがある。
  • たたみ
【畳み】のし終えた生地を蕎麦切り包丁で切るための準備。生地が十分な幅をもち正方形にのされていれば、たたんだ状態もきれいに仕上がり長い麺となる。重なりあう層が互いにくっつかないよう、打ち粉を十分に振ることがポイントである。
  • たちあがり
【立ち上がり】=まくら
  • たちそば
【裁ち蕎麦】福島県南会津郡檜枝岐村に伝わる、独特の郷土そば。 そば粉を湯捏ねして小さな玉を数個作る。それを一枚ずつ太く短いめん棒で直径約60cmの円形にする。4〜5枚伸ばし終えたら生地を全部を重ね、駒板を使わずに布を裁断するように包丁を手前に引いて切るので、裁ちそばの名がつけられた。
  • ダッタンそば
【韃靼ソバ】栽培ソバの一種で、ダッタン種、食味に強い苦味をもち、それゆえ別名「苦蕎麦(ニガソバ)」ともいう。原産地は、普通種のソバと同様中国チベット自治区の三江地区であることが最近あきらかにされた。その名は、ダツタン(韃靼)人が好んで栽培したことに由来しているといわれる。ソ連、中国、韓国と北朝鮮の一部、モンゴル、ヒマラヤならびにインド周辺の国々、東欧諸国、カナダおよびアメリカ北部などで食用や飼料として古くから栽培されている。実の形は普通ソバと異なり、一見小麦の種実によく似ており、花の色は淡緑色である。めんにしてゆでると、ゆで湯が鮮やかな黄色に変わる。さらに、ルチンと黄色色素成分および苦味成分の含有量が極めて高く、主成分のルチンの含有量は100倍近くもあるとされ、その薬効に注目が集まっている。
  • たでか
【タデ科】ソバが属する双子葉植物の一つの科。ソバ、タデ、イタドリ、アイなどが属し、草本まれに低木。葉は単葉で互生し、花は小型、実は堅実。
  • たぬき
【狸】→たぬきうどん→たぬきそば
  • たぬきうどん
【たぬきうどん】てんかすの載ったかけうどんのことを指すが、天ぷらのタネを抜いたの意味の「たねぬきうどん」の意味。よって天ぷらの衣だけが載る。ユーモアのある名称である。大阪では「たぬき」は揚げ入りのソバ。京都ではくず餡仕立の刻みうどんをさす。天かす入りのうどんは『はいからうどん』と呼ばれることもある。
  • たぬきそば
【たぬきそば】「かけそば」に、揚げ玉(天かす)とねぎを入れたもので、極めて簡素な種物ではあるが、そば汁と天麩羅の衣の相性のよさで人気がある。天麩羅の油面に残った揚げ玉(天かす)を使うため「揚げ玉そば」とも呼ばれる。 「きつね」と並んで、最も大衆的な種物である。「たぬき」の名の由来は、、揚げ玉とねぎ以外にタネらしいものが入っていないので、″タネヌキ″がなまったという説や、色合いや、こってりした味から連想したという説などいろいろある。
  • たね
【種】かけそばに加えて種物にする材料や上置きのこと。
  • たねじる
【種汁】=かけ汁
  • たねぶた
【種蓋】種物の丼にかぶせる漆塗りの蓋。「はなまきそば」や「おかめそば」には欠かせない蓋だが、透明のラップの登場で出前での出番がなくなり需要が激減したため、いまではほとんど見ることができない。
  • たねもの
【種物】かけそばに色々と細工した種のせて付加価値をつけた、基本的には温かいそばのしながき。
  • たまごとじ
【玉子とじ】そば店の種物の代表的なもの。江戸末期の資料「守貞漫稿」によれば、そばが16文に対し、玉子とじは天ぷらそばと同じ32文で当時、卵が貴重品であったことを物語っている。 かき玉を作るのと同じ要領だが玉子とじは片栗粉を使わない。卵の攪拌は、卵黄と卵白が分離しすぎることのない程度にとどめる。鍋の中の汁を菜箸で攪拌し、溶いた卵を高い位置から逆回転方向に流し入れる。提供は、温めておいたそばの上に海苔を敷いて卵をとじた汁をかける。関西では「鶏卵」とも呼ばれる。
  • たまごとじうどん
【卵綴じ饂飩】けいらんともいう。→玉子とじ
  • たまごとじそば
【卵綴じ蕎麦】=たまごとじ
  • たまつくり
【玉つくり】=でっちる
  • ためざる
【溜め笊】茹で上げ、洗い終えたそばを水切りするざる。竹製の場合、揚げざると比べると底が浅く、平らに近いのが特徴。最近ではステンレス製を使うところも多い。
  • たらし
【垂らし】そば粉をゆるく溶いて、「焙烙」の上に垂らし焼きしたものジリ焼とも言う。和製のガレットである。群馬県利根郡の食べ方。
  • だんご
【団子】うどん生地をねかす時の形。お供え餅状の形にして熟成させる。
  • たんぽ
【たんぽ】湯煎するときに用いる、「つけ汁」を入れる容器。昔は、素焼きのままのものが多く「土(どろ)たんぽ」と呼ばれた。深さ30cm、内径18cmが、容積約6Lが標準。これにつけ汁を入れて30分〜1時間湯煎すると、味がまろやかになるとされた。いまでは汁を湯煎しないところも多い。たんぽは一般につけ汁(辛汁)用の「汁たんぽ」を意味するが、「かけ汁(甘汁)」を予熱する金属製の「金(かな)たんぽ」もある。
  • ちからうどん
【力饂飩】うどんの具に餅を入れるもの。揚げ餅の事もある。餅は力の元、力もちという意味合いがある。
  • ちゃきり
【茶切り】茶きりは、抹茶を「さらしなそばの生地」に混ぜて練り上げる。さらしな粉を湯で水回しし、全体の2割のと小麦粉(強力粉)を入れてから一旦さらしなの生地練り上げる。そこに倍量の水であらかじめ溶いておいた抹茶を20g程度入れ練る。出来上がりは色もきれいで、風流な趣がある。通人は、茶そばのあつもり(湯通ししたそば)を肴に一杯、というのを好んだという。茶そばは色物の中でもひときわ上品なそばで、句会やそば会の顔にふさわしい。
  • ちゃそば
【茶蕎麦】=ちゃきり
  • ちゅうやそば
【昼夜蕎麦】二種類の色の異なったそば生地(めん帯)を重ね合わせてのした「合わせそば」。一本のめんが二色で彩られる。赤と白は祝儀に、茶と白は不祝儀に使える。白はさらしなそばを使い、赤や茶は、色物の変わりそばを使う。
  • ちょうじきり
【丁字切り】チョウジの粉末を練り込んだ変わりそば。 香辛料であるチョウジ(クローブ)を粉末にしたものを加えてそば切りに仕立てる
  • ちょく
【猪口】→そばちょく
  • つがるそば
【津軽蕎麦】津軽地方独特のそば作り。(1)そば粉に大豆粉を3%混ぜて「そばがき」を作り、これをそば粉に入れて練り上げる。(2)水に呉汁を少々加えてそばを練り上げる。このようにすると、 茹で上げ、玉に取ってから保存性が高く、江戸から明治時代の夜そば売りに適応した製法だったといわれている。
  • つき
【ツキ】通し言葉でたったひとつ特別なもののこと。「天つき、三枚のもり」は、「三人前を通します。天麩羅そばが一杯で残り(この場合は二枚)はもり」という意味
  • つきのわ
【月の輪】ゆで釜の上のふちのまわりにセット曲げ輪。汁をとるとき、うどんを煮るときなどに使用して、吹きこぼれを防ぎ、釜の容積を最大に利用するもの。昔は檜の薄板を曲げて作られていたが、最近はほとんどステンレス製になった。また、最近の丸釜は釜の高さが十分にあって、月輪を使用せずに十分な容積を利用できるものも開発されている。
  • つきみそば
【月見蕎麦】温かいそばの上に四ツ切りの海苔を敷いて、卵を乗せた後、熱々の汁を張る。卵の白身が汁の熱で白雲となり、海苔の夜空に黄身の月がくっきりと姿を表す。
  • つけじる
【漬け汁】=もりじる
  • つけそば
【漬けそば】=つけめん
  • つけとろ
【漬けとろ】もりそばに別の容器に入れた「とろろ汁」を添えて提供する。「とろろそば」とも。とろろ汁は、ヤマイモをすりおろし、同割のもり汁でのばす。温かいそばにすりおろしたとろろ芋を上置きしたのが「山かけそば」。
  • つけめん
【漬け麺】熱いスープの入った丼と、冷たいラーメンが別盛りで提供されるラーメンの食べ方。
  • つごもりそば
【晦日蕎麦】=みそかそば
  • つしまそば
【対馬蕎麦】対馬は、大陸から日本にソバを伝播した際の中継地点であるとされている。その太古のソバが島内で陸封されている。観光資源としても注目できるソバと言える。対馬は昔からソバの栽培が盛んで、かって朝鮮へまで輸出していた。そばを盛る甑(こしき)=せいろのこと。は30cm角で小指ほどの女竹をそのまま編んでいる。対馬そばは、「こしきそば」とも呼ばれる。
  • つたや
【蔦屋】→やぶそば
  • つなぎ
【繋ぎ】そばを打つとき、より打ちやすくそばが切れないようにするために混ぜる物。 小麦粉(中力粉または強力粉)がもっとも一般的だが、ヤマイモ、山ゴボウの葉(オヤマボクチ)、フノリ、豆乳、豆腐などもつなぎとして使われる。
  • つなぎのわりあい
【繋ぎの割合】そばに入れるつなぎの割合は、生粉(100%で繋ぎなし)、九一、二八、七三、四六、同割(半々)、「外一」、「外二」など配分の呼び方がある。 二八はそば粉八に対してつなぎの小麦粉が二であり、外一そばは、そば粉十に 対してつなぎ一をいう。
  • つのだし
=かどだし
  • つゆ
【露】=もりじる、かけじる
  • つゆとっくり
【露徳利】=しるとっくり
  • つらだし
【面出し】そばを手打ちする際、生地の表面をすべすべと赤子の顔の肌のようにするプロセス。
  • つらみず
【面水】揚げざるですくった直後のゆで上がったそばを一気に冷却する水のこと。ステンレスの揚げざるがあれば、大きなボウルに水を張っておき、そばを一気に沈める。ない場合は、大きな手桶でそばに水が平均にかかるように水を一度手のひらに当てて散らす。これらの粗熱をとる動作を「面水」(つらみず)という。
  • てあわせ
【手あわせ】小麦粉に塩水を入れて水と粉を合わせること。そばで言うところの水回しと同義
  • てうちそば
【手打ちそば】「手打ち」とは、製麺機などの機械を使わずにそば道具と手だけでそばを作ること。そば粉の状態にきめ細かに対応できるため、手打ちには機械打ちでは味わえない魅力があるとして、こだわる人が多い。しかし、「手打ち」とそば切りが江戸で市販されてから、しかも機械打ちがなかった時代に「手打そば」という言葉があらわれた。これは当時の「駄そば」(二八そばとも)に対抗した言葉で、生粉打ちの上製という意味という意味である。 「駄は粗なり」の意とされるから、手打ちを看板とした店は、自ら一級店を名乗ったものと察せられる。
  • てごま
【手駒】そばを切るときに、駒板を使わずに手を生地に添えて駒板代わりにして切ること。
  • でっちる
【デッチる】そばを作る工程のうち、「くくり」から「へそ出し」までの一連の作業をいう。 くくり その一 水まわしを終え、ポロポロの塊になっものを、今度は、手に力を入れて粉の粘りを引きだして、一つの塊にする。この工程を「くくり」、または、「まとめ」と呼んでいる。 ここでは、ねりを早くするために両手で二つの塊になるようこねる。内側へ内側へと体重をかけて折り込んでいくのがポイントで、くくりをやっているうちに面(つら)がでてくる。
  • てのべそうめん
【手延素麺】手延素麺は小麦粉に塩水を加えて練り手延べでして二本の棒に綾がけして伸ばして行く。細いうどんと呼べないことも無いが伸ばすときの乾燥防止に綿実油等の食用油を使う。冬の寒仕込みでできたものは寝かされて梅雨明けに出荷される。農林規格で素麺の麺の太さは直径1.3mm未満と細さが決められている。兵庫の播州素麺、奈良の三輪素麺、香川の小豆島素麺、徳島の半田素麺、長崎県の島原素麺などが有名である。
  • でまえ
【出前】注文に応じてそばなどの料理をこしらえ、それを注文した家や会社に届けること。
  • てらかたそば
【寺方蕎麦】寺院でそばを打って僧たちが食すことをいう。その調理法のひとつが、愛知県一宮市の妙興寺に伝えられている。→みょうこうじそば
  • てんざる
【天笊】ざるそばに、別盛りにした天麩羅が一皿つく品書き。
  • てんすい
【天吸い】=てんぬき
  • てんせいろ
【天蒸篭】→てんざると同様のもの
  • てんだね
【天種】(1)天麩羅のたねのこと。そば店では、えび、なす、生しいたけ、ししとう、れんこん、かぼちゃ、しその葉などが代表的。(2)そば店で、天種を酒のつまみとして提供すること。天ちら(し)とも言う。
  • てんちら(し)
【天散ら(し)】=天種(そば店の)
  • てんとじ
【天綴じ】天ぷら蕎麦をさらに玉子でとじた種物
  • てんなん
【天南】天ぷら蕎麦にくらべて割安に設定した品書き。エビの本数を減らしたぶん南蛮(ねぎ)で補うため。天南と呼ばれる。
  • てんなんばん
【天南蛮】=てんなん
  • てんぬき
【天抜き】温かい天麩羅そばから、そばを抜いたもの。天すいとも呼ばれる。蕎麦を頼む前に酒を飲むとき、一種のつまみとして注文する。=てんすい
  • てんぷら
【天麩羅】魚介類や野菜に衣をつけて油で揚げたもの。そばとの相性がよく、そば店では欠かせない料理となっている。
  • てんぷらそば
【天麩羅蕎麦】車エビや他のエビをかけそばの上にのせた温かい種物。かき揚げをのせる場合も天麩羅蕎麦と呼ばれることがある。→天南、天ざる
  • てんもり
【天盛り】てんざると同様のもの。
  • とうがらしきり
【唐辛子切り】一味唐辛子の粉末を湯捏ねしたさらしな粉に練り込んだ変わりそば。そば粉に対して2%程を混入する。案外辛くはなく、良い香りがする。
  • どうこ
【銅壺】そば釜を囲むように取り付けられた槽。明治の頃まで銅製だったので、銅壺とよばれる。銅壷の湯は中釜でそばをゆでる余熱で80℃ほどに熱せられており、上部に開けられた直径24cm程度の穴を利用して、釜の湯の張り替えや追加、たんぽ(湯せん)、種物の丼の予熱などに使われる。普通は湯煎用の「前銅壷」と給湯用の「後銅壷」に分かれている。
  • どうこうあん
【道光庵】江戸・浅草にあった檀家を持たない念仏道場に「道光庵(どうこうあん)」という支院があった。庵主が信州出身でそば打ちの名手で、参詣者に手打ちそばを振る舞っていたところ、ことのほか美味と評判となり蕎麦好きが押し寄せた。親寺の称住院ではあまりのそば人気が寺の規律を乱すとのことで、そば客を門前払いし、道光庵のそば切りをやめさせた。そば店に庵号のつく屋号が多いのは、この道光庵の名声にあやかろうとしたからである。
  • どうづき
【胴搗き】杵などで搗(つ)いてソバを製粉すること。粉の大きさが揃わないので、篩いにくく歩留まりが悪い。
  • とうふつなぎ
【豆腐繋ぎ】崩した豆腐を水の代わりにして練り上げたそば。
  • どうわり
【同割】(1)そば粉と小麦粉(割粉)を同じ量ずつで混合すること/(2)もりづゆとかけづゆを同じ割合で混合すること、主にぶっかけ系統の品書きに冷たい状態で提供される。
  • とおしことば
【通し言葉】注文を調理場伝えることを「通す」といい、注文品を「通し物」、「出物」という。そのとき、店員同士には手短かで間違えずに伝わり、しかし客席にはあからさまには聞こえない独特な符牒のこと。
  • とおしもの
【通し物】注文された品書き、出物ともいう
  • とがくしそば
【戸隠蕎麦】戸隠山は山岳修験者の霊山で、宿坊ではそばを常食してきた。手打ちそばを、水洗いしてから食べやすいように手で巻くようにして小分けにして竹製の笊に盛る「ぼっち盛り」が特徴。
  • ときそば
【時蕎麦】三代目柳家小さんが演じた噺。そば屋の勘定を払うさい、一文銭を一つから八つまで数え、「何時だい」、「九つで」、「十、十一、十二…」と一文ごまかした手口を見た男が、まねをして、「七つ、八つ、何時だい」、「四つで」、「五つ、六つ、七つ…」と損をしたというオチ。
  • どさんかんろくじょうごはい
【土三寒六常五杯】讃岐うどんの塩加減、加水率の口伝。土用の頃(夏)は升一杯の塩を升3杯の水で薄め、寒の頃(冬)は6杯の水で薄める。常(春夏)は5杯で薄めろという意味。しかし現在の塩の精製度を考えると土用の水の比率では塩は完全に融けないと思われる。単に夏と冬では加塩率が2倍位違うという意味に近い。
  • とじ
【綴じ】鍋にかけられ熱い汁の中にある具材を溶いた卵を回しかけてまとめること。
  • としこしそば
【年越し蕎麦】大晦日にそばを食べる由来は、諸説ある。(1)金箔屋が金を打ちのばす時に、その台にそば粉をすり込んでおくと打ち切れずによく伸びると言われているところから「金が切れない」(2)飛び散った金粉を掃き寄せる時に、そば粉を撒いておさえるので、「金を集める」(3)蕎麦の実は三角で、厄除けになる形と言われ、蕎麦を食べて「汚れを払い、息災を願う」などいろいろ。
  • どたんぽ
→たんぽ。
  • とみくらそば
【富倉蕎麦】長野県飯山市富倉に伝わる郷土そば。小麦粉が取れない地域だったため、オヤマボクチという植物の繊維をつなぎに使ったそば。オヤマボクチは、アザミ科の植物で、地元では山ゴボウと言う。オヤマボクチの葉を摘み、乾燥させ、煮て、水洗いしてという工程を何度も繰り返したのち、天日で干して出来上がり。取り出せる繊維は、葉1kgで、わずか4〜5gというからこれだけでも大変な作業だ。手間暇かかる作業と交通が不便な地域性と相まって「幻のそば」とも言われている。
  • どようかん
【土用寒】そば屋の通し言葉。同じ系統の品書きで温かいもの(土用)と冷たいもの(寒中)同時に通すこと。「もり」と「あつもり」を通す場合「土用寒のもり」と通す。
  • どようそば
【土用蕎麦】立秋の前18日間を夏の土用と呼び、その初め日が土用の入りで7月20日頃である。この日に食べるそばを食べると腹痛や暑気当たりをしないとされる風習
  • どよかん
【土用寒】どようかんの江戸訛り=どようかん
  • とりなんばん
【鳥南蛮】合鴨の代わりに鶏肉を使ったもの。南蛮はねぎのこと。「鳥そば」「若鶏そば」「かしわ南蛮」ともいう。
  • とろろそば
【薯蕷蕎麦】ざるそばのもり汁に代えて「とろろ汁」で提供する。 とろろ汁は、ヤマトイモ(銀杏イモ)をすり鉢で回しながらおろしたのち、すりこ木で良くすり、卵黄を加え「同割汁」で調えたもの。「とろそば」「つけとろ」ともいう。
  • どんじる
【丼汁】天丼に用いる汁のこと。
  • どんぶり
【丼】かけや種物やご飯物を盛る陶磁器の食器。出前が全盛のころは、木製で朱塗りの種蓋をかぶせて用いられた
  • ないしょ(う)
【内証、内所】=ごないしょ
  • ながしゃり
【長舎利】舎利は炊いた飯のことなので、そばや饂飩などの長い麺類のこと。
  • なかだい
【中台】「花番」が通す注文に対応するため、調理場で上置きをのせたり、天ぷらを揚げたり、汁の加減をみたりする役目の人。また、中台のアシスタントを「脇中」という。
  • なつしん
【夏新】北海道産や青森産など、夏に収穫された春播きの新そばのこと。一般的には「秋新」を新そばというが、それと区別するための呼称。
  • なつそば
【夏ソバ】夏に収穫された新そばのこと。一般的には「秋新」をさして新そばというが、それと区別するための呼称。品種としては牡丹ソバやキタワセソバなどがある。
  • なっとうそば
【納豆蕎麦】納豆を上置きとした冷や掛けそば。
  • なないろとうがらし
【七色唐辛子】=しちみとうがらし
  • なべがき
【鍋掻き】そばがきの作り方の一つ。 火にかけた鍋の中でそば粉を練る。分量はそば粉1に対して水1.5倍が標準だったが、近年は2倍、3倍のゆるい掻き方が好まれるようになっている。→わんがき
  • なべやきうどん
【鍋焼き饂飩】蓋付きの小振りな土鍋にうどんと出汁を入れ、シイタケ、カマボコ、海老の天麩羅、野菜、玉子などを上置きにしてぐつぐつ煮込んで提供するもの。
  • なま
【生】包丁で麺線に仕上げて、茹でられる状態になったそばのこと。
  • なまがえし
【生返し】→かえし
  • なまそば
【生蕎麦】=なま
  • なまだな
【生棚】仕上がったそばを生舟におさめ、それを置いておく棚
  • なまぶね
【生舟】「生そば」を入れて保管するための、蓋付きの箱。 そば店では生そばをさして「なま」と呼び、箱を「舟」と呼んだところから名付けられた。材質はサワラ、スギを塗って仕上げてあるものが一般的。湿度を調整してしまうキリ(桐)は、仕上がったそばから水分を奪ってしまうので不適だ。切り溜とも呼ばれる。
  • なめこそば
【滑子蕎麦】ぬめりのある食用キノコのナメコをもり汁で仕上げ、そばの上置きとしたもの。大根おろしを上置きまたは薬味として用いる。
  • なんばん
【南蛮】南ばんの名は、異国から入ったものを「なんばん」といい、ねぎ、唐辛子、南瓜などをそのように呼んでいたことに由来する。そば店では関東風の白いねぎのこと。
  • にかけ
【煮掛け】(1)様々な野菜、豆腐、油揚げなどよく煮込み、そばやうどんに かけて食べる。清汁(すましじる)でも味噌仕立てでもよく、ネギ、ダイコンおろしなどを薬味に用いる。 (2) ゆでためん類を一人前ずつ小さな竹籠(とうじ籠)に入れ、煮えたぎる汁に通して、それに汁と実とをかけて食べるもてなし料理。トウジソバともいう。
  • にがそば
【苦ソバ】=だったんそば
  • にきり
【煮切り】みりんや酒を鍋に入れ十分に加熱し、アルコール臭さを蒸発させて、風味は生かす前処理。アルコールの湯気が立ったときに火をつけ、アルコール分を完璧に飛ばす方法もある。
  • にくわけ
【肉分け】→幅出し
  • にしんそば
【鰊蕎麦】身欠きニシンを軟らかく煮て濃い味をつけ、それを上置きにした種物。明治15(1882)年頃京都の「松葉」二代目松野与三吉が考案した。
  • にっけいきり
【肉桂切り】肉桂(ニッキ=シナモン)を粉末にしてさらしな粉に練り込んだ変わりそば。
  • にはち
【二八】=二八蕎麦
  • にはちそば
【二八蕎麦】(1)割粉2割とそば粉8割の配合だと味と打ちやすさのバランスがよいため、現代でも最もポピュラーな配合となっている。(2)以前は、二八うどんもあった。慶応年間(1865〜68)を境にそばの値段が20文を超えた、それ以前は二六、三四は12文、二八は16文の代価であったと考えられる。
  • にばんこ
【二番粉】製粉所によって、呼称の基準に違いがあるが、一台のロール製粉機でソバの抜き実を繰り返し挽砕していたころ、一番目にさらしな系のデンプン質の粉がとれ一番粉と呼ばれ、二番目に甘皮と中層粉が適宜混ざった並粉系の二番粉がとれ、三番目には甘皮と外層を含む黒目の粉が出てくる、これを三番粉と呼んだ。
  • にばんだし
【二番出汁】そば店の二番出汁は、一番出汁のかつお節のがらを、水からふたたび沸騰させて取ったもの。かけそばや種物に使う「かけ汁」は、二番出汁と一番出汁と同割であわせ、そこに一割弱の返しを入れて調合するか、またはもり汁を二番出汁で適宜に割ったものが多い。
  • にゅうめん
【煮麺】素麺を温かく煮て食べるメニュー。→冷やし素麺
  • ぬき
【抜き】(1)玄そばからソバガラを取り去り、そのまま石臼で碾ける状態としたそば粒。(2)種物からそばを抜いたもの。天麩羅そばからそばを抜くと「天ぬき」ということになる。この抜きは、天麩羅の吸い物であることから、天すいとも呼ばれる。
  • ねぎ
【葱】ねぎ特有の香りと辛味がめん類の薬味として良く合う。関東では、白ネギ(根深ネギ)、関西では青ネギ(葉ネギ)が好まれる。ネギが薬味として使われはじめたのは江戸初期からと言われている。21世紀に入ってから、東京千住(足立区)近在で作られ幻の葱といわれた「千住(千寿)ネギ」も復活している。大阪では難波付近で作られていたという「難波ネギ」が知られ、薬味として重宝がられた。ねぎの成分である硫化アリルがそばに多く含まれるビタミンB1の吸収を高めるため、体を温め、内臓の働きを盛んにし、血液の循環を良くするため、冷え性改善や疲労回復、強肝作用が働く。
  • ねり
【練り】こね鉢の工程でソバ粉がもつたんぱく質の粘性を引き出すプロセス。不十分だとそばの繋がりを維持する粘性が得られず、練りすぎると生地をくたびれさせてやはり繋がらなくなる。
  • のうりんろくじゅういちごう
【農林61号】小麦の品種名。広く全国で栽培される。小麦の品種名としては古くから有名。群馬、埼玉などに特に多い。農林61号を使ったご当地うどんは多い。桐生うどん、上州うどん、武蔵野うどん等が有る。くすんだグレーや茶褐色の麺になる。食味は製法にもよるがボソボソしたり、粘る感じがある。素朴な風味豊かなうどん、昔懐かしいうどんとして人気がある。
  • のし
【伸し】そばの生地を均一な厚さで平らに伸ばすこと。江戸流の手法では、「手のし」「丸出し」「角だし」「幅だし・肉分け」「本のし」「仕上げ」「たたみ」の七つの作業に分けられる。
  • のしだい
【伸し台】麺類を伸ばす台。手打ちそば店の業務用の横幅は巻棒が自由に振り回せる150cm以上。奥行は奥に手が届く90〜100cm程度が望ましい。材料は、硬く復元力がある「桂」をはじめ、「檜(ひのき)」「ひば」なども良い。台の板は表面に凹凸がないこと。甲板を接ぎ合わせて裏打ちするとソリ、歪みが生じにくい。台の高さが低すぎると腰を痛めるので、直立した状態で伸し台の手前半分が楽に使える高さになるよう、踏み台などを使って調整する。
  • のしべら
【伸しべら】「切りべら」と反対にのした「厚さ」より、切る「幅」を広くすることを言う。名古屋のきしめんの断面はのしべらの代表的なもの。→切りべら
  • のしぼう
【伸し棒】
  • のっぺいうどん
【能平饂飩・濃餅饂飩】のっぺい汁のとろみからついた名前だと思われるが餡かけうどんの一種。大きなシイタケの煮物が具として使われる。
  • のばし
【伸ばし】うどんの伸しは団子を足踏みで大きく平たくして始める。縦方向に小判型を作り、90度回転させて上下を伸ばして四角にする。肉わけして麺棒と巻き伸しする。地方により円形に仕上たり、長方形に仕上たりすることもある。厚さ4mm、きり幅3〜5mm程度が一般的。打ち粉は澱粉かコーンスターチが良い。名古屋の味噌煮込みうどん用のうどんにはソバの打ち粉を使う。
  • のりばこ
【海苔箱】蕎麦店の酒のアテのひとつである海苔を湿気らせないように提供する箱。
  • のれん
【暖簾】もともとは、店頭に布地をつるして日除けや目隠しとして使われていたもの。次第に屋号や商標などを染め抜き、看板や広告としても機能するようになった。寛永(1624〜44)のころに始まったとされ、今日まで使われ続けている。布は木綿製、地は紺、屋号や文字は白く抜くのが一般的。下端が地面に届くほどな長いものは「長暖簾」という。やがて、のれんは屋号のことを示すようになり、″暖簾を誇る″という形で使われる。
  • のれんわけ
【暖簾分け】丁稚制度で、奉公人が丁稚・手代・番頭の各段階を経て独立することを、「のれん分け」といった。屋号を分与され、大変名誉なことであった。
  • はいから
【ハイカラ】天かすを入れたうどん。関東で言うたぬきうどんと同義。
  • はく
【白】すうどんのこと。
  • ばく
【貘・泊】前日に仕込んだもの。「ばくそば」、「ばく汁」などと使う。「とまり」も同義。
  • はしかみわせ
【階上早生】青森農業試験所が大正7年(1918)、階上地方の在来系統から選抜したソバの品種。夏〜中間型で、粒はやや大きく、色は黒褐色。冷害年にもかなりの収量をあげ、それ以来青森および岩手県の主要品種。
  • はなこ
【端粉】ソバを碾いた時、最初に出てくる粒子の粗い粉のこと、花粉ともいう。
  • はなばん
【端番、花番】注文をとって厨房に伝えたり、できたそばを運ぶ人。 店の「はな(端)」のところに居るので「はな番」といい、主に女性が受け持つ場合が多いので聞こえよく「花番」とあてた。注文を通す時、独特の「通し言葉」をいうのも花番の役。
  • はなまき
【花巻】「花巻きそば」の略。かけそばに焼き海苔を乗せ、薬味はおろしワサビが決まりでネギはつけない。「花巻」の名は、浅草海苔のことを″磯の花″にたとえられることからきている。種蓋をのせて提供する。海苔の香りが、汁やそばに移った頃合いに蓋をとって香りを楽しむ。
  • はばだし
【幅出し】丸出しをへて角出しされた生地は、丸が四角になった名残で四辺に厚みが残る。この厚みを利用して生地の幅を出していくことを幅出し(肉分け)と呼ぶ。幅出しと肉分けは、それぞれが単独の仕事ではなく、生地の幅を出しながら厚みを整えていき、最終の本のしを準備する重要な工程である。なお、生地に十分な幅を与えるためには、1.5キロ打ちで四尺(120cm)、2キロ打ちで四尺五寸(135cm)の巻棒が必要となる。
  • バラがけ
【バラ掛け】機械打ちのそば製麺で、ミキサーで粉に水を加えてぼろぼろとした状態とし、それを製麺機にかけこと。
  • ひきぐるみ
【碾き包み】(1)玄ソバの殻をつけたまま石臼で碾いた粉をふるいにかけて殻を取り除く製粉の方法。 完全に殻を除去できないため、粉の色は黒く、食べてぼそつく。(2)玄ソバの果皮を取り除いた「丸抜き」を碾いたあと篩いわけをしないそば粉。
  • ひしゃく
【柄杓】湯、水などをくみ取る柄のついた道具。そば店では汁取り用として曲物のひしゃくがあり、通常は五合びしゃくが使われた。また竹製でもり汁取り用のひしゃくがある。現代では、使いやすいステンレス製のスープレードルを使うことが多い。
  • ひたちあきそば
【常陸秋ソバ】茨城県の「金砂郷在来」をもとに、茨城県農業試験所が選抜固定したもので、昭和62年(1987)に品種登録された。秋型で、粒はやや大粒。粒揃いが良好、色は濃褐色。栽培適地は、茨城県を中心とした関東。
  • びっくりみず
【吃驚水】=さしみず
  • ひっこしそば
【引っ越し蕎麦】長屋などに引越してきた際、隣近所は二つずつ、大家へは五つ、そばを配って挨拶する風習。関東大地震(大正12年・1923)頃まではごく一般に行われていた。
  • ひつこそば
【櫃こ蕎麦】岩手県の遠野地方では、弁当箱のことを「ひつこ」(櫃コ)といい、この小判型の器に盛ってだされたそば。
  • ひなそば
【雛蕎麦】18世紀の江戸中期には、ひな祭りに蕎麦切りを供えることがからり広まっていたようだ。江戸では、3月4日にそばを供えてから雛を仕舞ったともいわれる。そばも二八だけでなく、色合の豊かな三色や五色そばが用いられるようになった。
  • ひね
【老ね】「新そば」のときは淡緑色をしているが、梅雨時から夏場にかけて表面が茶色になり、風味も落ちてくる。このような状態のそば・そば粉をさして「ひね」と呼ぶ。
  • ひもかわうどん
【紐皮うどん】幅の広いうどん。きしめんと同義につかうことが多いが桐生などでは幅3から5cmもある平たいうどんのことを言う。きし麺の誕生の地『芋川』で生まれた麺で芋川の名前が変化したものとの説も有る。
  • ひやあつ
【冷熱】冷たいうどんに熱いつゆをかけるかけうどんのこと。ぬるいうどんになるがうどんの味、出汁の味がよく分かる。早く食べられるというメリットもある。
  • ひやしうどん
【冷やしうどん】冷たいうどんの意味。、氷を入れた器に水を張り、中に締めたうどんを入れてつけつゆで食べる方法のメニューもある。
  • ひやしそうめん
【冷やし素麺】素麺を茹でて冷たい氷水の入った器に入れて供する。つけ麺で食べる。
  • ひやひや
【冷々】冷たいうどんに冷たいつゆをかけて食べるかけうどんのメニュー。ひやかけと同義
  • ひやむぎ
【冷麦】うどんより少し細いうどん。うどんの種類は太さによって決められている。うどん・冷麦・素麺と細くなる。
  • びょうぶだたみ
【屏風畳】うどんを切る時の畳み方。生地の上部に麺棒をかけて上に吊り下から重ねながら折りたたむ。Zの字を書く様に畳む。いわゆる屏風の畳み方と同じ。
  • ひらうち
【平打ち】生地を薄く伸ばして厚さよりも切り幅を意識的に広くすること。厚さを3ミリ以下にして切り幅5mmにすれば麺の切断面は長方形になる。
  • ひやがけ
【冷や掛け】→ぶっかけ。
  • ひやしきつね
【冷やし狐】冷やし狸に習い、キツネを冷やがけで提供するもの
  • ひやしたぬき
【冷やし狸】昭和30(1955)年ごろから、東京で出されはじめた品書き。皿盛りのそばに、あげ玉の他さまざまな具をのせ、冷やがけとして提供する。
  • ふし
【節】→節類
  • ふしるい
【節類】魚を原料に使っただしの材料は、「干」か「節」のいずれかである。 煮干は、煮てから乾燥させたもの。焼干は、焼いてから乾燥させたもの。これらはカタクチイワシなど、小さな魚を出汁用に処理する方法である。それより大きな魚体をもち、三枚か五枚におろせる魚が「節」となる。最高級の節は鰹であるので、鰹節のことを「本節」と呼び、その他の魚を節にする場合は、鯖節、宗田節、秋刀魚節等、その魚の名前をつけて呼ぶ。
  • ふた
【蓋】→たねぶた、かまぶた。
  • ふつうそば
【普通ソバ】ソバには栽培種と野生種とがあり、栽培種は、普通ソバ(甘ソバ)とダッタンソバ(苦ソバ)に大別される。世界で広く栽培されているのは普通ソバで、一般にソバといえば、普通ソバを指す。種実は鋭い四つの角をもつ四面体である。花は一般に白だが中国やヒマラヤのソバには深紅のものがある。普通種ともいう。
  • ぶっかけ
【打掛け】ぶっかけそば切り、ぶっかけそばの略称。元禄(1688〜1704)のころから、荷物を運搬する人足のため立ったまま食べられる冷やがけが始まりとされている。当初は下賤な食べ方とされていた。 その後、寒い季節には、そばを温め汁を熱くするように工夫され、方々で売り出され普及していった。 ぶっかけに人気が出ると、従来の汁をつけて食べるそばを「もり」と呼んで区別する必要が生じた。ぶっかけをさらに略した「かけ」は寛政の頃(1788〜)からの呼び方。→かけそば
  • ふとうち
【太打ち】太く打ったそばのこと。田舎そばは、太打ちにすることが多い。
  • ふね
【舟】=なまぶね
  • ふのり
【布海苔】フノリ科の紅藻。 マフノリ、フクロフノリなどの総称。 新潟の小千谷には布海苔でつないだ「へぎそば」がある。つるつるとした食感が強い。つなぐ力が強すぎるので、手打ちではなく機械打ちとなる。
  • ふりざる
【振り笊】そばの種物を作るとき、熱々で提供するため銅壺の湯でそばを温めるための円錐形のざる。笊を振って遠心力で湯切りをするところから。→ふりもの
  • ふりみず
【振り水】手打ちそばの水回しの最後に、少量を追加加水すること。
  • ふりもの
【振り物】振りざるに麺を入れ、右手で前銅壷につけて温めてからざるを振って湯水をきり、左手で温めた丼に麺を納める作業のこと。振りぎるは使いこなすのに技術が必要、右手の振りざると左手に持った丼を調子を合わせて扱う。
  • ふるい
【篩】粉状または粒状のものを細かいものや粗いものなどに分ける作業に使う器具の総称。そば打ちの場合は、玄蕎麦や丸抜きを石臼で碾いた後に網目の大きさの違う篩に順番にかけることにより、そば粉に仕上がる。市販のそば粉も篩にかけることにより、水回しの作業などがしやすくなる。曲げ物などで作った枠に絹、金属、化学繊維、馬毛などで編んだ網が張ってある。網目の大きさは、メッシュや目で表す→目とメッシュ→目開き
  • へぎそば
【折ぎ蕎麦】へぎ(へぎ折敷)に盛りつけたそばのこと。新潟県の小千谷や十日町などでは、もりそばを盛る容器として、杉、檜、松の材を薄くはいだ板の四方に縁を付「へぎ」が使われる。これに簾を敷いて、茹でて水洗いをしたそばを一ずつ丸くまとめてる。
  • へそだし
【へそ出し】手打ちそばの鉢の工程で、練り上げながら生地の表面をなめらかにしていくことを「菊もみ(菊練り)」という。 この時シワが手前にまとまってくるので、それを消すため生地を鉢の中でころがして円錐状にすることを「へそだし」という。 生地の塊の中に空気の層が出来ないように、空気を抜くような練り込んでいくのがポイント。さらに、円錐状の頂点を手のひらでひねりつぶし、ひっくり返して底面だった面を手のひらで平らに仕上げれば、円盤状の生地に仕上がる。 「くくり」から「へそだし」まで一連の作業を「でっちる」ともいう。
  • べにきり
【紅切り】紅花の色素をさらしな粉に練り込んだ変わりそば。茹でると色があせてしまう。
  • べんけいがめ
【弁慶瓶】そば店の厨房の中台に置く、そばの調理道具を挿して立てておく瓶(かめ)。七つ道具をもつ弁慶の姿に似ているためこう呼ばれる。
  • ぼーめ
【ボーメ】ボーメ計をつかって塩度の割合を量ること。10パーセント食塩水を10ボーメと言う。塩度が上がると数値が上がる
  • ほうちょう
【包丁】=そばきりぼうちょう
  • ほうちょうした
【包丁下】切ったばかりのそばのこと。しっかりと茹でるためには、包丁下よりも、麺と水とをなじませるため、小一時間ほどねかせるのがいいとされる。
  • ほくしん
【ホクシン】小麦の品種名。北海道で多く栽培される。麺用小麦として優秀な品種。期待の地粉の一つ。
  • ほしうどん
【干うどん】=かんめん
  • ほしそば
【干し蕎麦】=かんめん
  • ほそうち
【細打ち】そばやうどんを細めに打つこと。さらしな粉を使ったそばは、細打ちにすることが多い。手打ちの素麺も、細打ちで仕上げる。
  • ぼたんそば
【牡丹蕎麦】大正末期に北海道農業試験場が伊達、紋別地方の在来種から選別。 昭和5年(1930)に奨励品種に指定されてから、北海道の主力品種として君臨してきた。 夏型で黒褐色の大粒。食味はよいが、丈が揃わないため、収穫の歩留が良好でないという欠点があった。そして、長年にわたる栽培の間に交雑が進み、品種本来の特徴を発揮しないものが出てきたため平成3年(1991)ごろから、北海道の主力品種は、キタワセソバに移行している。
  • ぼっちもり
【ボッチ盛り】ゆであげたそばを水にさらし、片手の指にまきつけるようにまとめ、器に盛りつける戸隠独自の方法
  • ほんがえし
【本返し】→かえし
  • ほんのし
【本伸し】江戸前のそば打ちの場合。角出しで生地を正方形に近くきめ、次に十分に肉分け・幅だしを行ってから本伸しに移る。本伸しは、厚さ1.2〜2mmになるまで生地を薄く伸すことが目的である。のし棒で伸し広げることにより、粉の量によっては、かなりの広さになるので、さらに巻き棒を使って現在作業していない部分を巻き取りながら伸し進めていく。巻き棒が二本必要になるのは、麺帯を広げる前後方向を入れ替えるときに、一旦巻き棒を二本使わなくてはならないからである。
  • ほんぶし
【本節】大型の鰹から取られる節で、三枚におろした二枚の両側の身を各々血合い骨の部分で半分に分けて節にしたもの。一尾から4本の本節が取れる。背の方を雄節(おぶし)、腹の方を雌節(めぶし)と呼ぶ。
  • ほんまるけ
【本丸け】足踏みしてつらの出た生地を菊もみしてお供え餅状の団子にする作業。
  • まえどうこ
【前銅壺】→どうこ
  • まきぼう
【巻き棒】→めんぼう
  • まく
【幕】同席したお客様からの注文が三種類以上にわたる場合「まくで」という通し言葉を前にふる。お連れ様だから同時に出してほしいと言う意味。「なめこが勝って七杯てんぷら、まくで、つけとろとぶっかけ四杯」は、なめこそば四杯、天ぷらそば三杯(ここまでは、通常の通し)、つけとろとぶっかけ二杯ずつは、お連れ様なので同時に出して欲しいということになる。
  • まくら
【まくら】 駒板の一方に張り付けられている堅木の定規のこと。 高さ1.5〜2cmほどの細板で、黒檀(こくたん)を使ったものもある。黒檀を使うのは、目の疲れを保護し、手を怪我から守るため。
  • まごつき
【マゴツキ】=おしな、おいまわし
  • まじり
【交じり】二を示す通し言葉。 「かけまじり八枚もり」は、かけそば二杯、もりそば六枚計八人前の意味。
  • まつたけそば
【松茸蕎麦】季節蕎麦。形の良いマツタケを裂いてかけ汁で温めて上置きにし酸橘を添える。 香り、味わいともに秋の味覚そのものの種物。
  • まないた
【俎板】そばうどん店の場合、麺を切るまな板は一般の調理用とは別に用意する。
  • まるだし
【丸出し】のし板にて行う最初の工程である。丸出しは、手のひらを使って生地をつぶしながら厚みを整える前半の工程と、のし棒(短い麺棒)を使って、厚みをさらに整えつつ正円をめざす後半の工程に分かれる。江戸流の場合、丸出しの完了時に厚みが5mmの正円に整うと、次の角出しの工程がきわめて楽に行える。
  • まるぬき
【丸抜き】玄ソバから外側の殻を剥いてソバの実の甘皮を露出させた状態をさす。これを石臼で碾くだけでソバ粉となる。実は、ソバの製粉はこの状態にするまでに労力と時間の大半を使う。また、最終的にソバ粉として製品化すればよい製粉所にとって、丸抜きの状態が完璧に割れのない状態である必要はないので、丸抜きは石臼による自家製粉でソバ粉を碾くそば店向けの特殊な商品と言える。
  • みかんきり
【蜜柑切り】ノーワックスのミカンの皮を陰干しにしたもの(陳皮)をミキサーで粉砕し、さらしな粉8、割粉2で玉にした生地に、粉の総重量に対してみかんの粉末3%以上を練り込む。
  • ミキサー
【mixer】そば粉やうどん粉と水を適切に攪拌して大量の生地を作る手助けをする装置。
  • みずあらい
【水洗い】=あらい
  • みずごね
【水捏ね】そば粉には水溶性のたんぱく成分が豊富に含まれている。このたんぱく成分は水に溶けると粘りを生じ、適切なタイミングと方法で練ると、小麦のグルテンに準じる粘着力をもたらし強い麺線を形成する。いっぽう、割粉として利用する小麦粉のたんぱく質はグルテンを形成しより強い麺線になるが、40℃以上の湯を使ってしまうと小麦のデンプンが熱損傷を起こすため、その意味でも望ましい加水方法であるといえる。
  • みずさわうどん
【水沢饂飩】群馬県渋川市伊香保エリアに広がるうどん地帯。水沢観音下にうどん店が密集する。湯治客や参拝客に人気のうどん。2日かけて仕込まれるうどんは独特の伸ばしの技術で製麺される。400年あまりの歴史を誇る田丸屋・清水屋が特に有名。
  • みずそば
【水蕎麦】生粉打ちのそばを椀に盛り、湧き水だけを張って提供するそばの食べ方。
  • みずまわし
【水回し】そばを打つとき最初に鉢の中で行う最も重要な工程。 そば粉(あるいは、つなぎとして小麦粉などを加えたもの)に加水し、手で攪拌することで、粉にまんべんなく水を行きわたせる作業をいう。その最終目的は、鉢の中から乾いた粉を一粒もなくすことにある。水回しは粉を縒り合わたり練ったりせずに、鉢底を指先で磨き上げながら、手早く粉全体を鉢のなかで動かして攪拌することがポイント。もう一つのポイントは加水の量である。機械打ち製麺の場合、概ね35%程度で麺線を形成することができるので、手打ち・生粉打ちであっても、築地そばアカデミーが開発した手法でそば粉のタンパク質の粘性を引き出せば、37〜42%程度の加水率で十分に麺線を形成できる。一般に加水の量は45〜48%ぐらいで、粉1kgに対し450cc〜480ccが一つの目安といわれる。この加水量は、温度、湿度、そば粉の状態、によって多少変動がある。これから打とうとする粉の要求加水率を知っている場合は、水は一気に加水した方が作業中の蒸発を防ぐ意味でも有利である。加水率が不明の場合は、とりあえず35%を一気に加水して、不足分を適宜のタイミングで追加する。加水は、玉に打ち粉が打たれる直前まで自由に追加することができるので、最初に思い切った少加水で試すのが安全。逆に多加水でべとべとになった玉に粉を打ち込んでも生地にはならないので、水の入れすぎは禁物である。
  • みそかそば
【三十日蕎麦、晦日蕎麦】江戸中期から商家を中心に広まった月末にそばを食べる風習。関西では月の終わりを「つごもり」という。細く長く家運、寿命を伸ばし、身代が長持ちするよう縁起をかついだ。
  • みそにこみうどん
【味噌煮込饂飩】名古屋名物の味噌煮込みうどんは八丁味噌ベースのつゆに塩を入れないで打ったうどんを生で入れて煮込む。独特の固い食感が個性的。具は鶏肉、油揚げ、ネギなど。主に愛知県や東海エリアでよく食べられる。ご飯を一緒に食べることが多い。
  • みぞれそば
【霙蕎麦】同割汁や出汁醤油でおぼろ豆腐(豆乳ににがりを加えて圧さくする前に汲み取った、固まりはじめの状態)をひと煮し、茹で上げたそばの上にざぶりと掛ける。豆腐の量を多目にすると霙を思わせる姿となる。
  • みつばきり
【三つ葉切り】すりつぶすかみじん切りとした三つ葉をさらしな粉に練り込んだ変わりそば。
  • みやざきおおつぶ
【宮崎大粒】宮崎在来の秋ソバをもとに、宮崎大学農学部が育成した四倍体の新品種第一号。 昭和54年(1982)に登録(登録名は、みやざきおおつぶ)。秋型で、粒は大粒、濃褐色。栽培適地は南九州を中心とした南西暖地。
  • みょうがきり
【茗荷切り】すりおろしたミョウガをさらしな粉に練り込んだ変わりそば。
  • みょうこうじそば
【妙興寺蕎麦】愛知県一宮市の妙興寺では、慶長13年(1608)6月21日に 記された「妙興禅林沙門恵順 寺方蕎麦覚書」に記載されていたという寺方蕎麦の打ち方を伝えている。→てらかたそば
  • むきそば
【剥き蕎麦】=そばごめ
  • むしそば
【蒸し蕎麦】貞享(1684−88)の頃、浅草に蒸し蕎麦屋が並んだという記録がある。当時はうどんにくらべてそばの製麺技術が劣っており、切れるのを防ぐため、蒸して出したと思われる。
  • むねあげそば
【棟上げ蕎麦】寺方・町方を問わず、古くから棟上げの日はそばかうどんを肴に酒を振る舞うしきたりがあった、建て前そばともいう。
  • め と めっしゅ
【目とメッシュ】そば粉や割り粉、打ち粉を振るうときに使う篩の網目の本数をあらわす単位。「目」は、1寸(約3.03cm)の間に何本網が通るかを示し、「メッシュ」は、1インチ(約2.54cm)の間に何本の網目が通っているかを示す。60目と60メッシュでは、60メッシュのほうが細かい目の網になる。使用目的にあわせて網目の大きさを選んで粉類を篩にかける。網の素材としては、絹、金属、化学繊維などがつかわれる。
  • めびらき
【目開き】篩の網目の大きさは、目やメッシュで表すことが多いが、網の太さにより同じメッシュでも目の開きに違いがでてくる。そこで正確性を求められる検査用の篩などは、メッシュや目ではなく、目開き(オープニング)で表す。目開きは、網目と網目のすきまの大きさになる。単位は、ミリメートル(mm)やマイクロ(μ)で表示される。
  • めんきりだい
【麺切台】包丁を上げることで切り幅が決まる自動包丁。上げ幅で決まる機種と進み幅を予めセットできる機種がある。切りに関しては大幅な効率化が見込める。
  • めんたい
【麺帯】基本的には、ロール式機械製麺機にセットする生地ロールのことを言う。転じて手打の場合でも、畳まれていない生地を麺帯と呼ぶことがあります。(生地という呼称が汎用的で幅広い意味をもつため麵の生地として特定したいときなどに使う)
  • めんだい
【麺台】=のしだい
  • めんつゆ
【麺つゆ】醤油に砂糖類および出汁(かつお節、昆布、干し椎茸などから抽出)を加えたものをベースに、みりん、食塩、その他の調味料を加えた汁。主にそば、うどんなどの麺類のつけ汁、かけ汁として用いる。他に煮込み汁や天つゆなどとしても使う。そのまま使用するものと、2倍から数倍に希釈して使用するものがある。
  • めんぼう
【麺棒】そばを伸す時に使う棒。伝統的な江戸前は、長さ約120cm以上、直径2.4cmの巻き棒二本に、長さは約90cm、直径3cmのし棒一本が用いられた。巻き棒を100cm以下にすると幅出しができず長い麺にできない。のし棒は細い方が麺帯の生地の密度が高くなり、表面が荒れず、肌がなめらかで粘着力のある麺帯に仕上げることができる。また、長さ45cm程度の短いのし棒を併用すると、より自由な角度で生地を伸せるので、幅出しがさらに容易になる。のし棒は、いったんソリが生じてしまうと、元に戻らず使えなくなる。柾目が通ってよく乾燥した材料を選ぶとよい。材料は、狂いの少ないヒバが使いやすく、檜(ひのき)は昔から高級材として人気がある。このほか、樫(かし)、朴(ほう)、黒檀(こくたん)なども用いられる。地方へ行くと、その土地に伝わる打ち方に応じて、さまざまな材質、長さ、太さの麺棒が用いられている。
  • めんるい
【麺類】小麦、ソバなど穀類の粉を水でこねてのばしたものを細長く切った食品の総称。日本には、奈良時代に中国から伝来し、室町時代には現在に近い加工方法となった。西洋ではパスタという名称が使われている。
  • めんるいとうじしょく
【麺類杜氏職】杜氏とは本来酒造りの職人およびその長のことを言うが、後には一種の職名として扱われた。江戸期になると麺類の注文を受けていた「菓子司」が、江戸城や大名屋敷に出入りする際に、「蕎麦職人」といったのでは体裁がつかないので、「麺類杜氏職」という呼称を用いた。その後「杜氏宿」といういう「蕎麦職人紹介所」いわゆる口入屋が生まれ、この「杜氏宿」は、幕末、明治、大正のころまで存在したという。
  • もとじる
【元汁】=かえし
  • もむ
【揉む】=練り
  • もり
【盛り】=もりそば
  • もりさだまんこう
【守貞漫稿】著者の喜田川守貞は、嘉永6年(1853)大坂に生まれ、31歳のとき江戸に出て北川氏を継いだ商人。鋭い観察眼で、30年余の歳月をかけて集めた資料、見聞を分類、整理した考証随筆のこと。食に関する記述も多い。直筆の挿絵も豊富で、当時の風俗をよく伝えている。
  • もりじる
【盛り汁】「もり」、「ざる」、「せいろ」など、冷たいそばのつけ汁用の濃い汁のこと。一般に、 返し1杯をだし汁3-4杯で薄めた位の濃度の汁が多い。 かけや種物に使う「かけ汁(種汁、甘汁)」と対比される。東京(江戸)の用語。「もり汁」「つけ汁」という。
  • もりそば
【盛り蕎麦】器に盛られた冷たいそばに、もり汁を添えて出す提供方法。もともと「そば切り」は、汁につけて食べるものだったが、元禄(1688〜1704)の頃から、そばに汁をかけて提供する「ぶっかけ」がはやるにつれて、区別のためそれまでのそば切りに名前が必要となり、「もり」と呼ばれるようになった。安永2年(1773)版『俳流器の水』初編に「お二かいハぶっかけニッもり一つ」の句が見える。
  • もりわけ
【盛り分け】=あいのり
  • もんぜんそば
【門前蕎麦】寺社の門前町にあるそば店。昔からそばと寺方の関係は深く、参拝人のための茶屋などが発達し、そばを商う店が多かった。 福井県永平寺町の永平寺、東京都調布市の深大寺、長野の善光寺や戸隠神社、島根県の出雲大社などの門前では、多くのそば店が軒を並べている。
  • やぶそば
【藪蕎麦】そもそもは、雑司ヶ谷鬼子母神近くの藪の中にあった百姓家の「爺が蕎麦」が元祖といわれている。 寛政10年(1798)版『若葉の梢』下には「藪の内そば切りはぞふしがやの名物」とある。江戸っ子は正式な屋号より俗称で呼ぶことで親しみを感じていた。その人気にあずかろうと、藪蕎麦を名乗る店が多数現れた。駒込千駄木町の団子坂藪下にあった蔦屋も藪蕎麦とも呼ばれて大いに繁盛した。その蔦屋の神田連雀町(現・神田淡路町二丁目)の支店を明治13年(1880)に譲り受けたのは、砂場系の浅草中砂四代目堀田七兵衛であった。この店は、団子坂の本店(明治39年(1906)に廃業)なきあと藪の暖簾をあずかり、名実ともに藪の本家として現在に至っている。 本店である神田藪、浅草並木藪、上野池之端藪を藪御三家と呼ぶ。
  • やまいもつなぎ
【山芋繋ぎ】そば打ちの繋ぎとして山芋を使うこと。粘性が増して切れにくい麺になる。
  • やまかけそば
【山掛け蕎麦】→とろろそば
  • やまがそば
【山家蕎麦】=いなかそば
  • ゆかりきり
【縁切り】赤ジソの粉末をそば粉に対して3%くらい混ぜてこね上げた変わりそば。きれいな色物そばとなり、風味もよい。
  • ゆごね
【湯捏ね】熱湯でそば粉のでんぷんを糊化させ、その粘りを利用してつなぐそば打ち。香りは飛んでしまうが、水で捏ねる場合より比較的楽に打てることもあって、昔から行われてきた。また、そば粉のなかでも高純度のそばでんぷんを用いるさらしなそばには、湯捏ねの技法が欠かせない。
  • ゆずきり
【柚子切り】冬至のそばだが、現代では夏から冬にかけて長い期間提供される。ユズの皮をすりおろしてそば粉に練り込んだ変わりそば。黄色が美しく香り高い。夏のころの青柚子で打つと、緑色のきれいな麺線となる。
  • ゆせん
【湯煎】つけ汁を「たんぽ」と呼ばれる容器に入れ、銅壺の湯の中で30分から1時間温める仕事をする店がある。これを「湯せん」または「たんぽ」するという。容器とするたんぽは陶製が多く、これを別名「土(どろ)たんぽ」という。
  • ゆだめうどん
【湯溜饂飩】一度冷水で締めたうどんをもう一度温めてどんぶり盛、茹で湯かお湯を張る。釜揚げは締めないうどんなのでうどんの表面の具合が違うので食感が異なる。
  • ゆでおき
【茹で置き】うどんは茹で時間が10分以上かかるので時間短縮のために前もって茹でて置くことが多い。時間が経ったうどんは本当は味が劣化するのでできれば避けたい。温かいかけうどんなどでは温めなおすとある程度美味しさが復活する。うどんは茹でたてが一番美味しい。
  • ゆでまえははじ
【茹で前は恥】そばは、芯を残さないようにしっかりと茹でるべきことを諭した釜前の言伝え。一方「そばの三返り半」といって、釜の中で3回転半すれば茹であがっていると言うそばの煮上がりの早さを表した言い習わしがあるが、これは言葉の綾にすぎない。そばは、断面の太さに合わせてしっかりと茹で、しっかりとした食感を求める場合は冷水でしめる。その固さは、茹でたりずゴワゴワした麺とは全く異なるものである。
  • ゆとう
【湯桶】そば湯を提供する容器。四合位のそば湯を入れることができ、角形をした朱塗りの漆製や、曲げ物で作った丸湯桶がポピュラーな形であったが、最近では木製にこだわらず、樹脂製、金属製、陶製など幅広い材料が使われている。角湯桶は口が横から長く伸びているので、人が話をしている最中に、横から口出しすることを「そば屋の湯桶」という。また、上が訓読みで下が音読みの熟語を「湯桶読み」といい、丁度「重箱読み」と反対の関係にある。
  • ゆねり
【湯練り】→ゆごね
  • ゆもみ
【湯揉み】→ゆごね
  • よいごね
【宵捏ね】うどんの仕込みを前日すること。製麺までに6時間から12時間程度かかるためゆっくりと生地の熟成が進む。朝捏ねに比べて塩度を上げるか加水を抑えて適正加水を心がける。部屋の温度の影響を受けやすいので温度の安定したところで生地を寝かせる注意が必要。
  • よこびつ
【横櫃】釜前で使われるだ円形の木桶、その形から小判桶とも呼ばれる。そばは、水洗いされたあと、この横びつでもう一度冷水にさらされる。これでそばが一層しまり、「こし」が立つ。現代では、ボウルに氷水をはって横びつとする方法もある。
  • よしだうどん
【吉田饂飩】吉田うどん(山梨)。富士吉田、河口湖周辺の郷土食。絹織物の生産が盛んだった頃女性がこの仕事の働き手であったため食事の支度は男性の仕事だったと言う。さっと食べられるうどんを打つのは男性の仕事。豪快な固いうどんが特長。つゆは味噌と醤油の合せ。具はキャベツ。キンピラ。肉は馬肉の甘辛煮。
  • よたかそば
【夜鷹蕎麦】夜鷹とは夜に客を引き売春した江戸の私娼である。夜そば売りが、夜鷹そばと呼ばれるようになった由来については諸説まちまちである。『守貞漫稿』五編には、夜鷹がもっぱら夜売りそばを食べたからだ、と書いてある。また、夜鷹には「二十四文」の異名があって24文が相場だったが、最下等の夜鷹は10文で買えたことから、それから転じて10文で売られていた夜そばを夜鷹そばと呼んだとの説もある。
  • よつだし
【角出し】=角出し(かどだし)
  • よなきそば
【夜鳴き蕎麦、夜啼き蕎麦】→よたかそば
  • よもぎきり
【蓬切り】ヨモギの葉を練り込んだ変わりそば。 ヨモギの葉の葉脈を省き、ゆで湯を数度かえながらよく茹で、ミキサーですりつぶして裏ごしする(歩留まりは悪い)。これを半練りしておいたさらしな粉に練り込むと、香りよく緑のきれいなそばになる。
  • よんたて
【四立て】穫れたて、碾きたて、打ちたて、ゆでたて。そばをおいしく食べる条件とされる俗説。「ゆでたて」を除き、厳密な意味では誤り。収穫直後はそばが青臭く水分の調製もできておらず碾くことすらできない。碾きたては粉が不安定なので、しばらく置いた後に打つ方がよい。打ち立ては「包丁下(ほうちょうした)」呼ばれ、釜の湯に浮いてしまいきちんとゆでることができない。
  • よんばいたいひんしゅ
【四倍体品種】通常、ソバは授粉時に前世代から2組の染色体を受け継ぐので2倍体と呼ばれる。ソバの染色体の基本数は8本だから、2倍体の在来種は16本の染色体を持つ。これにコルヒチンなどの薬品処理を施し、染色体数を2倍の32本(4倍体)にしたのが4倍体である。2倍体に比べて花や種子が大きくなり、茎もひと回り太くなるため倒れにくい。すでに「みやざきおおつぶ」、「信州大そば」が実用化されているが、食味、収量、製粉歩留まりなど改良が期待される点も多い。
  • らんきり
【卵切り】水や湯を使わず鶏卵の黄身だけで打つ変わりそば。さらしな粉800gと割粉200gを合わせた1kgの粉に対して45個ほどの黄身が必要。いわゆるずる玉になるが、卵の特性により茹で上げるとしっかりとした黄色の麺になる。
  • ルチン
【rutin】そば粉には多くの健康維持のための重要な栄養素が含まれている。その一つであるルチンは、毛細血管の働きを安定・強化させ、動脈硬化など脳出血や出血性の病気に予防効果があると言われ、ヘスペリジン、エリオシトリン等とともにビタミンP(ビタミン様物質)と呼ばれる。普通種のソバにも多く含まれるが、ダッタンソバはルチンの含有率がさらに多いと言われている。
  • れいとうめん
【冷凍麺】うどんを茹で上げたものを急速冷凍したもの。業務用・家庭用ともに人気がある。湯に入れるとすぐにほぐれて茹で立てに近い状態になる。独特の透明感が有るタピオカ澱粉が利用される。
  • れんこんそば
【蓮根蕎麦】新蓮根と同じ重量のそば粉(生粉)を用意し、レンコンをすりおろし、絞り汁まで含めてそば粉に練り込んだそば。必要に応じ、粉総重量の1-2%の水を加えてさらに練る。れんこんのでんぷんにより、れんこん繋ぎともいう。
  • ロールせいふん
【ロール製粉】ロール挽きとは、毎分250〜300回転ほどで2本のロールを高速回転させ、原料をそのすき間を通過させることで効率よく砕く(挽砕)する生産性重視の製粉方法である。製粉ラインごとにすき間の異なる製粉機を複数用意して、さまざまな仕様の粉を効率よく取り分けられる連続製粉方式が主流である。
  • ロールびき
【ロール挽き】ロール製粉機そのもの、ロール製粉機を使った製粉ライン、あるいはロール製粉機で製粉した粉のこと。ロール挽きは、高速に製粉ができ生産性が高いため、小麦粉やソバ粉を調製する最も一般的な方法である。しかし、ロールで挽き上がったソバ粉はサラサラとした感触となり、手打ちがしにくい。そのため、手打ち用として生産されるソバ粉は、作業中に熱の影響をうけないよう低速で石臼碾きにした粉が提供されている。
  • わかめきり
【若布切り】生ワカメの塩漬けをごく薄い塩水で塩抜きしておき、ミキサーで充分にすりつぶしたものを練り込む。ワカメには全く粘性がないため、つなげにくいので注意して打つ必要がある。
  • わさび
【山葵】冷たく澄んだ渓流に自生するアブラナ科の多年生水生植物。栽培は湧き水や灌漑によりワサビを造成して行われる。特有の芳香と辛味があり、鮨、刺身、めん類の薬味として欠かせない。使い方は、ビタミンCが多量に含まれている。必ず使用の直前にすりおろす。主な産地は、伊豆、御殿場、宮崎、岩手など。輸入の素材も多く出回っているが、色あいと風味は劣る。
  • わさびきり
【山葵切り】ワサビをおろしてそば玉に練り込んだ変わりそば。残念ながら、茹でるとほとんどワサビの香りはしない。
  • わらびきり
【蕨切り】さらしな粉にワラビの粉をつなぎにして湯ごねしそばに仕立てる。
  • わりこ
【割り粉】そばに加える小麦粉のこと。生地をこねるとグルテンの粘性がつなぎとなり、そばが繋がりやすくなる。割粉の量は、店によって異なるが、そば粉一杯、小麦粉一杯が「同割」、二杯対一杯が「七・三」、三杯対一杯が 「町場の二八」、四杯対一杯で「二・八」、五杯対一杯をそと「外二」という。 小麦粉を繋ぎに用いたのは、寛永年間(1624〜44)奈良東大寺へきた朝鮮の客僧、元珍が小麦粉の応用を教えたと伝えられている。しかし、実際に割粉として広く使われるようになったのは元禄(1688〜1704)以降である。
  • わりごそば
【割子蕎麦】割子そばはそばを盛る容器から出た名称で「出雲そば」を代表するスタイル。銀杏製の丸い器に盛られたそばに汁を好みでかけて食べる。 薬味は、青ネギ、もみじおろし、鰹節、磯海苔、生卵がついてくる。割子三枚で一人前。
  • わんがき
【椀掻き】椀でかく「そばがき」。 温めておいた抹茶茶碗などにそば粉を入れ、煮え立つ湯を注いで、かき混ぜて練りあげる。 椀がきは、鍋がきにくらべて手早く行う必要があり難しい。
  • わんこそば
【椀コ蕎麦】岩手に伝わるそば振る舞い。客の椀コがあくとすぐに給仕がひと口かふた口くらいのそばを投げ入れ、客人がそば椀に蓋をするまでひっきりなしにおかわりを提供する。それが最高のもてなしだからだ。海苔・ネギ・刻みクルミ・マグロの刺身・筋子・腹子・花鰹、ナメコ、鶏そぼろ、漬物など、さまざまな薬味とともに提供される
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