そばの実(玄蕎麦)の果皮(殻)をむいてみると、内部に薄緑色の種皮(甘皮)に包まれた子実があります。玄蕎麦は、外側から中心に向かって、黒い果皮(殻)、薄緑色の種皮(甘皮)、胚乳、ねじれたS字状の子葉部(胚芽)という順で構成されています。外側にあたる甘皮と、中心にあるS字状の胚芽にはたんぱく質や脂肪、繊維質やルチンが多く、種皮の内側にある糊粉層が、そばの特徴的な旨味を持つといわれています。
このそばの実をロール碾きすると、白い中心部から順にでてきます。最初にでてくる粉は実の中心部が碾かれた真っ白い粉で、最もでんぷん質が多い「一番粉」です。次に実の中層部が碾かれた粉で、デンプン質とたんぱく質をバランスよく含んでいる「二番粉」になります。更に碾くと外側に近い部分と種皮が碾かれた「三番粉」になり、たんぱく質が多く含まれています。
通常のそば粉は、これらをブレンドしてたんぱく質含有量を12〜14%に調整しています。
そばの主成分は炭水化物です、この主成分はアミロースとアミロペクチンで、胚乳に多く含まれています。この2つの含有量は品種、産地によって異なるとされ、それが実際に麺にしたときの食感に大きな影響を与えるといわれています。
でんぷんに続いて多いのがたんぱく質です。100g中のそばのたんぱく質は、12mgで、米は6.1mg、小麦(中力粉)で9.0mgですので、そばのたんぱく質の多さがわかります。またそばのたんぱく質はとてもバランスよく必須アミノ酸を含んでいます。
つまりそばの味わいは、食品を支配するたんぱく質と食感を支配するでんぷん(炭水化物)によってもたらされるのです。